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№1898 技術の進歩は失業を産む?

№1898 技術の進歩は失業を産む?

 AI(人工知能)の発達によって弁護士も職を失うかもしれないそうだ。確かに、裁判例や法律、規則などいろいろデータをそろえ、さらに解決方式を習熟すればAIが法律相談できるかもしれない。なにしろ、囲碁だってできてしまうくらいだからね。

 しかし、技術革新は決して失業を産まない。これは私の深い信念となっている。

 産業革命当時イギリスでラッダイト運動が展開された。自動織機が職人たちの職を奪うというので工場や機械を破壊するという過激な活動だ。当時の工業社会は労働者を過酷な労働条件下に置いていた。産業革命以前の事業は職を奪われていったことだろう。だが、社会全体は豊かになり、豊かさに比例して人々の生活は改善していった。

 「富」というのが何を意味するかよく分からないが、たとえば生態系に対して、栄養状態が向上すると生態系全体としては生産量はあがっていく。それに比例して生物も多様化し、豊かな山河、豊かな海が生まれてくる。技術の発達によって生産性が向上すれば、社会という生態系は全体として利益を得るし、豊かさがますことになる。

 技術の発達や豊かさを求めて人が活動するのはある意味歴史的な必然性を持っている。産業革命時、問題があったのは機械では無く、新しい経済の仕組みに対応しなかった社会にあった。マルクスが指摘したように問題は搾取の構造、社会の仕組みにあった。

 機関車が発達して飛脚は無くなってしまったけれど、それに変わる産業が生まれ、雇用は増大した。ITや物流が発達し人々の関係はどんどん変わりつつある。AIとかプラットフォーム、IOT(物のインターネット)とかいろいろな言葉が飛び交っている。エネルギーのあり方も変化している。

 昨今の大きな変化は物と情報との役割分担の見直し、物のインターネットと言われる領域の問題だ。社会は相互に繋がり、高度な情報処理システムは常に最適化を求めて動いている。最適化の基準は一つだ。それは「個人が豊かになる」社会だ。

 個人が豊かになるためには家族が必要だし、コミュニティも必要だ。個性も打ち出したいし、個人の好みに応じてライフスタイルも取捨選択したい。今の情報処理能力、情報処理にあわせた現時社会の仕組みは、こうした個別要求に応じることが急速に可能になっている。
 
 社会全体が徐々に個人、コミュニティの個別的な要求に応じる能力を身につけ、かつ社会全体として最適化しているという社会はさらに進む。私たちの事業者のあり方もこうした社会のあり方についていかなければならない。

 「顧客との関係性、データの集積や解析能力、圧倒的にリーンなオペレーション、協創的なイノベーション力、人材を引きつけるビジョナリーな経営や組織風土」というようなことを頭に入れ、新しい事業のあり方にふさわしい形で自社の事業形態を変革することが求められている。

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