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№93 社長の教訓:石田梅岩

 石田梅岩元禄時代に商売のあり方を説いた市井の哲学者だ。1680年に生まれ,1744年に没したとされている。安土・桃山時代を経て泰平の世の中になり,農業の生産量が上がる一方,武士たちは戦費を使う必要が無くなった。世の中にお金が余り,まさにバブル時代を迎えたのが元禄時代なのだろう。経済の発展は商人たちの地位を向上させ,梅岩のような哲学者も産んでいった。

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梅岩は商人の道を説いた

 士農工商とおとしめられている商人について,「商人の利」に社会貢献の意味を持たせていた。「売利を得るは商人の道なり。」とし,「自他共に万事に通用して心やすめる為の売買にあらずや」,「売買ならずは買人は事を欠き,売人は売れまじ.左様になりゆかば商人は渡世なくなり農工とならん.商人皆農工とならば,財宝を通はす者なくして,万民の難儀とならん」と「商人の道」を説いた。
 
「真の商人は先も立ち,我も立つことを思ふなり」
 今で言う,WIN・WINの関係を示している。企業家は自分の存在価値を常に考えなければならない。自分に存在価値があれば,社会は事業を支持し,事業を持続させることができる。商人が社会に感謝するとは,社会が事業の存在価値を認めてくれているからこそ生かされているという真実が背景にある。単なる謙虚さ,美徳というものではない。商人は社会に感謝しなければならないし,感謝しなければ生きていけない必然性を持っている。

 自社の危機や,自社の発展を考えるとき,自社がなぜこれまで存続できたか,社会は自社のどこを支持しているか,自社はどのように社会に貢献したいと考えるのか,こうしたことを考えて経営の指針を作り,乗り切ることが大切なのだろう。

 近江商人は「売りてよし,買いてよし,世間よし」の「三方よし」を説いた。この辺りの感覚が大切だ。

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