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№684 マイケル・マークスとトム・スペンサー

№684 マイケル・マークスとトム・スペンサー
マークス&スペンサー(Marks & Spencer, 略称:M&S)
「1894年にマイケル・マークスとトム・スペンサーの2人でリーズに開業。1905年にスペンサーが、1907年にはマークスが相次いで死去するが、その後も発展を続け、1926年には株式会社となる(Wiki)。」 
 
 M&Sはイギリス最大手の小売業チェーンだが、120年まえ創業したときはペニー・バザール、「なんでも1ペニー」の露店商だった。彼らは巨大な雑貨チェーンを築き上げ1920年代には大きな繁栄を獲得した。しかし、彼らはそれに満足しなかった。
 
 「第一次世界大戦後のイギリスでは社会は急速に流動化し」中産階級以下の人々も高品質な商品を求めていた。M&Sは自社の目的を「小売りではなく社会革新」と定め、アパレルに特化する戦略をとった。質が良く、流行にあったデザイン野衣類を売り出したのだ。M&Sはあえて「専門チェーン」として、大衆向きに品質においてもファッションにおいても質の高い商品を売り出した。
 
 ドラッカーは言う「M&Sが異彩を放ち、繁栄を手にできたのは『何が事業か、何を事業にすべきか』に関する定義をもとに、歯切れのよい目標をいくつも掲げ、それを成果につなげたからである」と。
 
 話は変わるが、近江商人西川甚五郎という人がいる。その2代目は自らの顧客を武士から町民に変えた。庶民の求めに応じて蚊帳の素材を麻生地を萌黄(もえぎ)色に染め、紅布の縁をつけたデザインの『近江蚊帳』にしたとか。蚊帳に蚊よけだけでなく、「涼」を付け加えて売りにしたのだ。当時、庶民は力をつけ、文化を創ろうとしていた。庶民は「おしゃれ」も求めていた。
 
 自らの顧客はどこにいるか、顧客の要求(ウォンツ)は何か、自らの事業は何か、何を事業とすべきか、など甚五郎さんは考えたのだろう。江戸時代、町民は実力をつけ始め、商人たちは大衆的に商売することで庶民の発展、時代の発展に寄与していった。
 
 商売というのはどこでも同じですね。