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№94 中国法務

中小企業法務 №94 中国法務

 グローバリゼーションの展開は今や避けられない情勢となっている。それは経済だけではなく,社会構造や文化にも及んでいる。余りの急激な進展に対し,世界は対応できていないのが実情だろう。今回の金融危機もその一つだ。グローバリゼーションは好調なときであっても,貧しい国々,貧しい人々を犠牲にし,今回のような不況にあってはさらに人々を追いつめていく。私は何か根本的な欠陥があるような気がしてならない。

 ところで,私の事務所は北京に法律事務所を開いて,日本の中小企業の中国進出をサポートしている。中国はWTO加盟以降,国内法の整備を急速に進めている。もともと,資本主義的な所有権を否定するところで始まった国政なので,資本主義的な経済システムを導入することは容易ではない。

 国営企業の取り扱いが問題となっている。多数の企業が国境を越えて結合するグローバリゼーションの下では国際会計基準に基づいた企業管理が不可欠である。 私は会計の専門家ではないため不案内であるが,中国でも国際会計基準が取り入れられている。もっともいくつか未整備が残され,その一つが国営企業であるという

 中国では国営企業と言っても独立性が強く,実質的には国の支配のない国営企業という分類もあるそうだ。国営企業から民間に経営が移った場合の,中国企業への資本参加,あるいは中国企業からの資本参加,企業買収,合併などは難しい問題があるようだ。国営企業での会計処理が複雑であるため思わぬリスクを背負い込むことがある。