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№473 鳩山政権、ぶれまくり経営者の悲劇

№473 鳩山政権、ぶれまくり経営者の悲劇
 最近の報道から、鳩山政権を見て、これほど頼りなくて、能力のない政権だったとはとため息をついている人も多いのではないだろうか。私もその一人だ。安倍、福田、麻生とそれぞれ迷走した政権だったが、その場しのぎの迷走はなんだか共通するものを感じてしまう。
 
 現在、鳩山政権は普天間基地問題で揺れまくっている。その場しのぎの、調子の良い言葉を繰り返して、抜き差しならない状況まで追い詰められている。徳之島への移転など唐突に出したのも、思慮なく思いつきで動いている証拠だ。
 
 鳩山さんが顧問先の社長だったら、「社長。あなた方向を見失っていますよ。」「あなたの事業は本来何だったんですか。」とかなり厳しくやりあうところだ。会社の情勢が悪く、常に難しい判断が迫られるときがある。そんなときに、その場しのぎの適当なことを言っていると、状況はどんどん悪化する。
 
 債務の支払いや納期、クレーム処理に接する場合、来月には何とかできる、親の財産を売るから勘弁してくれ、再来月には仕事が入るから、そんな思いつきを繰り返す経営者は結局、無能のレッテルを貼られ、会社全体の信用を失っていく。こんな時こそ、原理原則に戻って、苦しくても本当のことを言う勇気、原則に戻った経営をすることで見通せる将来像を語らなければならない。
 
 鳩山政権は何をするべきだろう。
 当然、マニフェストだ。鳩山政権の経営指針はマニフェストだ。私は政治家のマニフェストなど読んだことがなかったが、あらためて民主党の「外交」を読んでみた。
 
 「日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす。」(民主党マニフェストより)
 
 いいことが書いてあるではないか。何でもかんでも米国の言いなりにならず、日本の主体性を発揮する。EUのように外交関係でも主体性を発揮して欲しい。誇りある外交をして欲しいと私は思う。鳩山政権の最大の悲劇は、このマニフェストに戻った原理原則的な政権経営のなさだ。
 
 自民党政権下の日米関係の亡霊、冷戦構造下で求められた従属関係たれという亡霊、抑止力という名の亡霊、これに振り回されている。つまり、マニュフェストではこの亡霊と縁を切るとしているのに、亡霊に振り回されているところが「ぶれてる」ゆえんだ。
 
 私は民主党の支持者ではないが、政権が交代したときには強い期待を抱いた。ぶれない姿勢、断固たる改革の姿勢、これが顧客のウォンツだったはずだ。
 
 中小企業家同友会では労使見解というのあって、経営上の確固たる信念の重要性を説いている。自社の経営に責任を持ち、社員と向かい合い、ともに成長していくというのが労使見解の考えだ。同友会ではそのために経営指針づくりを進めている。自社は何か、自社の顧客は何か、自社の当面する課題は何か、自社の中期的な目標は何か、こうした内容を指針にして文書化している。そうすることでぶれない経営者を目指している。
 
 顧問先の社長が揺れているとき、私は社長と話し合う。自社の事業は何か。自社の事業の何がこれまで顧客の支持を得てきたか。社員は会社のどこを支持しているか。創業時の精神を忘れていないか。あなたはどこで会社を発展させようと思っていたか。要するに「初心忘るべからず」ですな。