名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№17 中小企業に役立つ法律,下請代金法

 契約社会のたてまえは当事者間の対等独立だ。大企業相手でも,子供が相手でも契約の時はお互い対等独立の関係というのが建前である。子供がチョコレートをコンビニで買うときももちろんお店の人は一人のお客として扱わなければならない。子供だからと言って馬鹿にして100円のものを500円で売れば,それは不公正な取引だろう。このような契約は対等な関係とは言えない。
 下請業者も同じような体験をしたことはないだろうか。親会社の力をかさに着て,一旦決まった単価を引き下げてきたり,せっかく作った商品を受け取らないと言って困らせたり,悔しい思いをしたことはないだろうか。下請代金法はこうした取引上の不公正を是正する法律の一つだ。下請代金法は正式には下請代金支払遅延等防止法と言い,独占禁止法の特別法となっている。
 第1条は「この法律は、・・・親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護・・・することを目的とする。」としている。公正な取引というのは時の中小企業政策の到達点を反映するものではあるが,法律は第4条で具体的に定めている。商品を受け取らない,商品の値段を勝手に変更する,支払い時期を送らせるなど我々弁護士が日常的に相談を受ける内容が記載されてある。
 もちろん,この法律を盾にとってすぐに裁判などということはできないであろう。裁判によって親会社との関係が完全に絶たれてしまうかもしれないからだ。しかし,この法律を盾にとって日々の商いを変更させることはできるだろう。中小企業庁は下請け法に基づく取引条件の書面化など下請代金法の遵守の指導を進めている。少なくとも大企業の間では常識的となっているのだから,少しずつ交渉してよいものを作るのがよい。いざというときには必ず役立つし,こうした強い姿勢は日常の業績にも反映する。