名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№18 法的正義と中小企業の持続的繁栄(その1)

 このブログを始めて,そろそろ中小企業のための法務というのも見えてきた気がする。

1. 企業として使命感をもって生き抜くために
 中小企業のための法務とは中小企業がいかなる巨大な相手とも対等な当事者として立ち向かうための法的根拠を与えるというところにあるだろう。
中小企業は地域の市場の要求を肌身に感じて行動することができる点で,個人,地域のの個々のニーズを社会に直結させる役割を持っている。この直結によって個人,地域の多様な個性が社会全体に反映し,中小企業は一人一人を大切にする民主的社会づくりに貢献することになるだろう。そのためには中小企業が社会の要求(需要)をつかみ取るよう自律的に活動することが不可欠である。中小企業法務はこうした自律的活動に奉仕するものでなければならない。
 しかし,現実には大きな力関係の違いから自由を奪われていると言ってよい。大企業が下請業者に対して,単価を引き下げたり,商品を受け取らなかったり,あるいは支払いのサイトを長くすると言うのはその典型例である。要するに「人の弱みにつけこんで暴利をむさぼる」ということがしばしば通用してしまうところに問題がある。ここに小企業のための法務の使命が出てくる。
 契約社会は対等独立な当事者関係を前提とする。国であろうと,トヨタであろうと契約するときは対等独立な当事者関係である。トヨタの社長も,中小企業の社長も対等独立な経済主体であることに変わりない。そして,現実の力関係を前に,この対等独立な当事者関係がゆがめられたとき,法は威力を発揮する。法的正義は巨大な相手を規制し,中小企業の独自性は確保されるだろう。
(続く)