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№2212 弁護士の交渉術

№2212 弁護士の交渉術

弁護士は裁判ができます
 弁護士は口が立つ,交渉がうまい,などとよく言われます。弁護士が交渉に長けているのは裁判を経験するからです。本気でけんかしたらどうなるかという「法的力関係」の目安をつけて,ギリギリの点の利益追求をするため,あるときには強気に,あるときはけんかしないように話を進めていくことになります。

事実の整理と法律の理解が交渉のポイント
 弁護士の交渉で最も重要な点は,①事実の整理と②法律上の理解の2点になります。事実の整理は必要な証拠がそろっているか,法律上の理解は法理論も大切ですが,裁判例を踏まえた事例にあった裁判例を見つけ出し整理することが必要となります。交渉上のテクニックはいろいろありますが,弁護士同士の話し合いになるとテクニックそのものよりも,事実整理能力,法律の理解力で勝負が決まっていきます。

 そうは言っても交渉上のテクニックがあります。

軒を借りて母屋をとる
 交渉上,最初は小さな要望,相手が飲めそうな要望からから入っていきます。その上で,相手の動きから徐々に要求を拡大していき,段階的に要求を実現していく手法です。最初の入り口が大切というので,「Foot in the door」とも言われています。
 これはけっして,だますという訳ではなく,相手の要求が見えないので小さな要望から徐々に相手の状況を把握し,要求を拡大します。

 わからない(不確定要素が多い) → わかる(情報獲得により不確定要素を減らす)

係留効果
 こちらで,はじめに条件を提示して,最初の提示条件を基準に交渉を進めるという方法です。これは錨を下ろして,そこに係留するのに似ているので錨効果(anchoring)と言われています。

 後戻りできないので,提示するときにかなり勇気がいります。落ち着きどころの少し上をいく案を出すという判断が必要になるため,弁護士の経験がかなりものを言います。

瀬戸際戦術
 決められた条件を提示して,一切を拒否する戦術です。GE副社長ブルウェアさんがそうだったようです。ブルウェアリズムとも呼ばれています。

 この強硬姿勢は引き際のよさが神髄です。最初は怒り,強気に出て条件を提示し,満たされると判断するやいなや手のひらを返すようになりふり構わずさっとする決断する必要があります。トランプや北朝鮮の方式です。

原則回帰
 これは原則論にもどって粘り強く交渉する手法です。力関係で負けているときに利用します。例えば,大手取引先が無理なことを言ってきた場合,基本契約の原点に返って原則論を整理し,粘り強く交渉を段階的に進めていきます。

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