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№1937 法科大学院での法的文書教育

№1937 法科大学院での法文書教育

 私は立命館大学法科大学院で法律文書の作成について教えている。法律文書と言えば、訴状や答弁書準備書面といった裁判で使用される文書が代表的だ。そのほかにも内容証明郵便や契約書、法的鑑定にかかわる意見書など弁護士実務では様々な文書の作成が求められる。

 法文書の基本的要素は次の通りだ。法科大学院のみなさん。あなたたちが日々作成している答案も法文書ですから同じです。

法文書のミニマムスタンダード
 どのような法律文書でも法律的判断が最も重要な意味を持つ以上、最低限必要な構造は存在する。

 法律(法)→ あてはめ(事実)→ 結論(効果) 

 これは法的三段論法と言って、当たり前と言えば当たり前なのだが、軽視できない。法科大学院で教えるようになって、私も改めてこの重要性を実感している。

法文書には提出相手がいます
 法律文書では相手方、依頼者、裁判所など差し出す相手方が必ずいる。この読者が明快に分かる工夫が必要となる。結論が2回出てくるが、読者を説得するためには最初に結論を示すことは常識になっている。読者はミステリーを読んでいる訳では無い。

 ① 事案の概要、あるいは文書の目的の提示
 ② 結論
 ③ 事案に関する法令など法的規範と法的な効果が生じるための要件を提示
 ④ 法律効果発生に関わる事実の摘示
 ⑤ 結論

論理的なフレームワークが必要
 こうして文書の構造が決まると内容が展開される。この時に常に論理的な必然性が意識される。この論理力はかなり難しいが、大学入試の数学に比べれば一般的には楽じゃないかなと思ってしまう。

 ただ、数学などと異なるのは、世の中は論理的にできていない点だ。少なくない現実はあいまいだし、結果の妥当性が論理を曲げてしまうこともある。そもそも、法律が完全に論理的にできているかと言えばそうでもない。こういうところが難しい。

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