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№2143 反社会勢力

№2143 反社会勢力

 反社会勢力と関係を持たないことは経営者ならば常識だ。しかし、暴力団など反社会勢力に対してどのように対応して良いか分からない企業がほとんどではないだろうか。小売業系や飲食店など、力のある企業はそのための顧問弁護士を頼み対応している。

対応の指針
 法務省は平成19年に「企業が反社会勢力による被害を防止するための指針」を発表し、企業が組織的に対応することの重要性を説いている。

「反社会勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、何らかの行動基準等をもうけないままに担当者や担当部署だけで対応した場合,要求に応じざる得ない状況に陥ることもあり得るため,企業の倫理規程,行動規範,社内規則等に明文の根拠を設け,担当者や担当部署だけに任せずに,代表取締役等の経営トップ以下,組織全体として対応する。

トップが逃げてはいけない
 中小企業の場合,社長が規模が小さいので必然的に社長がトップに立って対応することになる。ここで社長が逃げて,担当者にやっといてくれなどという対応はあり得ない。担当者が対応するにしても緊密に連絡をとり,担当者を励まし,決断の責任を負わせないようにすることが必要だ。

政府の指針には次のようなことが触れられている
① 従業員の安全を確保する
② 平素から警察,暴力団追放運動推進センター,弁護士などの外部の専門機関と緊密な連携関係を構築する
③ 反社会勢力とは,取引関係を含めて,一切の関係をもたない。また,反社会勢力の不当要求は拒絶する。
④ 反社会勢力による不当要求に対しては,民事と刑事の両面から法的対応を行う。
⑤ 反社会勢力による不当要求が,事業活動上の不祥事や従業員の不祥事を理由としてする場合であっても,事案を隠蔽するための裏取引を絶対に行わない。
⑥ 反社会勢力への資金提供は,絶対に行わない。

弁護士の役割は大きい
 不当要求がある場合,当事者になった社員の安全を確保する必要がある。社長だってこわい。これは会社だけでは難しい。警察,暴力追放運動推進センターなどとの連携が不可欠だ。

 反社会勢力への対応でもっとも重要なのは「正常な交渉ルート」を作り上げることだ。それは法的手続きにほかならない。弁護士が民事裁判を利用するのは担当者との直接取引を遮断し,社員を守り,法的マターに仕立て上げていくためだ。

 また,警察などが動くためには不当要求が何らかの犯罪に展開する可能性がなければならないのだから,弁護士は犯罪性ある事情を取り上げ,証拠を整理し,警察と連携することになる。

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