№2105 エリート社員たちの老後
私は今年還暦を迎えた。還暦なんてくそくらえだ。
ともかく、還暦のせいか高校、大学の同級生たちがよく集まる。それぞれいろいろな人生を送っているが、中には大企業に入ってエリートコースを歩んだ人間も少なくない。
生き残っていく超エリート社員
ある友人は日本トップの自動車会社の専務取締役となっていた。これくらいの地位になると、他の大企業の社外取締役になってたり、なんかの団体の顧問になったりいろいろおまけがついて回っている。麻雀でドラがいっぱいくっついていく感じだ。いいな。
会社を退職するエリート社員
60歳になって、大企業内エリート社員は人生の一区切りになるらしい。私の親戚は退職して主夫になって家事専門になっている。かわって奥さんが働いている。
別の友人は60歳になって、退職してなにもせず「充電」するらしい。エリート社員たちは大企業でキャリアを積んで、経験や人脈を形成しているのでそれを生かして人生後半戦を戦う気持ちでいるようだ。しかし、エリート社員がどれだけ役立つか問題があるかもしれない。
大企業と、中小とは違う。大企業で組織に守られてきた人間が中小の厳しい世界で役立つ保証はない。コンサル気分で中小に入り込んでも馬鹿にされるだけだ。時々,商工会議所なんかで講演があって,大商社などの元社員などがグローバリゼーションにふれたりする。「そんなことは分かっとるわい」などと思ってしまう。
社長業に転職するエリート社員
別の友人は関連会社の社長となって活躍してる。
関連会社といっても一部上場なので大企業だ。大大企業から大企業に移ったというところかな。この会社には歴代,派遣されているようなところがあって。彼の話によると,過去の社長たちは「マネージメント」が分かっていなかったようだ。大大企業の組織ではマネージメントの一部にしか関わっていなかった。それが,大企業の社長になって会社全体を見なければならないのだが,その全体を見る力が弱いのだそうだ。
彼は大学時代から強烈な突破力のある人間だった。関連企業に移って,がんがん改革を断行したらしい。おかげで会社は急激に業績を回復し,大幅な黒字化を果たしたらしい。カルロス・ゴーンみたいなものだな。
「社長業はどうだ」ときくと、「自分で決めれるからおもしろい」とも言っている。でも「ある程度、落ち着いてしまうと面白みがなくなる」とも言っていた。たしかに,彼ほど改革をすると社長業もおもしろそうだ。
人生いろいろだな
私の法律事務所お客さんは中小零細なので,大企業とは無縁だ。中小企業の社長や社員たちの歩みもこうしたエリート社員たちとは違う。実は中小企業の社長の方がエリート社員よりよかったりすることの方が多い。本当に人生はいろいろだ。