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№1137 会社と幹部の関係について

№1137 会社と幹部の関係について
 キャリアシステムにおける社員と組織の関係は、社員と会社の中心(会社のアイデンティティ部分または経営理念、経営戦略)との関係で分析されるべきだ(E.H.シャイン、「キャリアコーンモデル」)。大企業のように確立した組織がある場合はわかりやすい。平社員、課長、部長、取締役やがて社長と人の一生を見渡し、自分の立ち位置を理解することができる。

 一方中小企業においては、とりわけ成長途上にある中小企業においてはこれはできない。そもそも社長だってさらにキャリアを積まなければならない。中小企業の特徴は会社の成長に応じて組織そのもの、中心軸そのものが変化していく点にある。また、大企業と異なり、一人の社員が持つ会社に対する影響力大きく、社員の作用によっても中心軸は変化していく。

 中小企業においては、不断のコミニュケーションによって会社組織の成長とともに、人材を成長させていく考えをとらざる得ない。未来に向かって共同して作業を進めていく過程で分業を進めることになる。中小企業においては会社も社長も人も共に成長させていくという考え方をとらざる得ないところがある。

 ひとの成長や発達が学校にいる間で完結することはない。人は学校以外の組織も、成長や発達の場としている。会社はひとが生涯にわたってキャリアを歩みながら発達していくための舞台を提供すると考える必要がある(E.H.シャイン)。

 社長には生涯教育の場として会社を提供しているのだという意識、会社そのものが社員の成長によって変化していくという意識、社長自信も会社の成長にあわせて変化成長していくという意識が必要となる。

 もちろんこうした問題は当たり前と言えば当たり前だ。重要なのは相互に成長していくという過程を用意するために何がなされるべきかという実践的課題ということになる。次の課題が問われることになるだろう

 ①  明確な企業理念、企業戦略は明確になっているか。
 ② 社員の責任は明確になっているか。
 ③ 社員の責任を果たせるだけの組織体制ができているか。
 ④ 社員と社長との責任と権限に関するコミュニケーションはとれているか。
 ⑤ 社員と社長とのコミュニケーションには今もしくは将来の顧客を獲得し、顧客に責任を持つという実践的なテーマが設定されているか。
 ⑥ 幹部はゆっくり成長する。幹部の成長段階を正確に把握しているか。
 ⑦ 社長も幹部の成長に合わせて変化する。社長自ら、会社そのものも幹部の成長に変化するものだという認識を持っているか。

 ある会社では「ほう・れん・そう」をテーマに幹部の学習プログラムを実践している。これは社長もいっしょになって特定のゲームを行い、それを契機に社長、幹部相互のコミュニケーションの必要性、その実践的テーマを学習している。これも、相互成長の実践の一つだ。こうした単純なことから始められる。