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№1138 考えろ、そして行動せよ。

№1138 考えろ、そして行動せよ。
 最近、私の顧問先の会社が重大な危機に陥っている。
 顧問弁護士の優劣は企業の危機にあって、「考えろ、そして行動せよ。」と言えるかどうかによって決まるのではないだろうか。

 ある会社の場合、取引先との大きなトラブルが発生した。取引先が過大な要求をつきつけてきて、このままで赤字必至の情勢だ。しかし、契約途中で工事を中止すれば、それまでつぎ込んできた工事代金数千万円の回収を図れないかもしれない。

 しかし、一方でこのまま工事を進行させても取引先は何を言ってくるか分からない。いろいろ口実を作り、工事代金を支払わない可能性もある。社長とはいろいろ協議して取引先に利益を確保するための条件を求めることにした。その条件をのまなければ事業からは撤退する決断をしたのだ。

 撤退されれば取引先も大きな痛手をこうむる。取引先は取引先で施主に対して莫大な損害賠償を背負うことになるだろう。依頼者の社長は背水の陣を敷き、断固たる勝負に出たのだ。ここまでの決断では、撤退した場合の法的不利益、その回避措置、撤退をしなかった場合の法的不利益、その予防措置の検討を重ねることになる。この場面で顧問弁護士は非常に役立つ。論点を整理し、社長に「考えろ、そして行動せよ。」と決断を迫る。

 別の会社の場合、資金ショート危機を迎えている。社長は昏迷し、判断力はどんどん低下していった。こんな状況下で顧問弁護士は何をするべきか。
 心配が先行して集中できないのは行動する方向が見えないからだ。行動する方向が見えれば、判断力も回復する。

 それは、単純なキャッシュフロー表の作成から始まる。利益の源泉を見つけ出し、どこに活路があるかを検討する。スポンサーを探し、スポンサーから提供される資金の最大有効利用を考え出す。少ない資金だがやるべきことが多い。その場合の資金利用方法の優先順を考えなければならない。

 この会社の場合、M&Aで乗り切ることにし、M&Aに向けた具体的な戦略を建てていくこととなった。社長も会社も破産を回避し、社員にも取引先にも責任を果たす最良の戦略を生み出すことになる。顧問弁護士は社長によりそい、「考えろ、そして行動せよ。」とともに指針を作り出す。