№1842 大企業と中小企業とどっちが強い?
大企業と中小企業とを比較した場合、どうしても中小企業は規模故に不利な面があると考えられがちだ。確かに営業や経営、研究の体制については人的にも物的にも見劣りする。社長の給料も違うかもしれない。
しかし、大企業のエリートサラリーマンより、中小企業の社長の方がずっと所得が高いかもしれない。社員だって、ワーカーや一般職事務員のレベルからすると中小企業の方が所得が高いかもしれない。どちらが優越しているかはどの基準、どの土俵で比較するかによってずいぶん意味が違ってくる。
重要なのは重なる市場においていずれが優位に立っているかという視点ではないだろうか。マイケル・ポーターは「実際に競争するのは事業部である。」としている。企業戦略が全体として優れていても現場において優位に立たなければ利益を得ることはできない。
中小企業の場合、特定の事業領域を選択し、資源を集中させるという戦略をとる場合がほとんどだろうが、この場合の選択と集中に力を注ぐことによって相手が大企業であっても競争上の優位に立つことができる。
東北の震災や、タイの洪水からあの大トヨタですら、一部の企業の操業が止まるとラインが止まるということを目の当たりにした。少なくとも特定の部品では中小企業の方が競争上優位に立っていたことを証明するようなものだ。
全国的なシェアではセブンイレブンが優位に立っていても、北海道ではセイコーマートが優位に立っていることも、結局のところ現場におけるどこで勝負し、どこで勝っているかを理解した方が、競争を勝ち抜くという戦略的視点からは重要だ。
つまり、自分たちの立ち位置の定義を正確にして、その定義を基準に比較して成功しているかどうかが重要なことだ。
もちろん、中小企業がいつまでも中小企業に甘んじている必要は無い。
こうして、自らの土俵を設定し、選択と集中によって磨き上げた競争力が、徐々に市場を拡大し、全国や国際的なトレンドを先取りするものであれば、規模を全国や世界に広げていくことが可能となる。
シアトルのコーヒー豆おろしメーカー、スターバックスが「第三の空間」というコンセプトで成功し、これが世界のトレンドで先取りするものであったから今日の国際的な成功を収めている。ソニーはトランジスターラジオという当時米国の大企業が目をつけなかったところに集中したおかげで成功の端緒を築いた。
重要なのは自社の競争上の優位が時代のトレンドをどれほど先取りしているかにかかっている。
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