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№1724 少数株主から株を買い取る

№1724 少数株主から株を買い取る

 少数株主対細工は,①実態のない名義株なので,真の所有者は現経営者である旨の証明書にサインしてもらう,②実態がある少数株主では買取を交渉する,③それでもだめなら排除制度を検討してみるということになります。

 少数株主を多数株主が買い取ってしまうと言う、特別支配株主買い取り制度が平成26年より実施されました。

 少数株主の存在が企業の発展のためには邪魔になることがあります。
 会社を大きくするにあたって組織再編が必要になりますが、少数株主が存在することで手続きをいろいろ踏まなければならなくなったりします。

 あるいは、自社を大きく発展させていきたい場合に少数株主の株も合わせて大きくなるので、会社拡大の利益を自分の財産と同様に会社にため込んでいくことがやりにくくなってしまいます。何の努力もない少数株主に会社拡大の利益を得させるのをくやしく思うということがあります。

 そこで、会社拡大路線を前に、思い切って少数株主を整理するという方策がとられます。いわゆる  キャッシュ・アウト、スクイーズ・アウトと呼ばれる手法がいろいろ考え出されてきました。全部取得条項付種類株式、株式併合、合併などを利用して端株化して現金で解決していくという手法があります。



 しかし、これはかなり面倒な手続きが必要となります。税法上の「適格性」も考慮しなければなりません。

 平成26年会社法が改正され、90%以上を所有する株主は他の少数株主の株式を強制的に買い取ることができる制度が定められました。この場合、複数の株主をあわせて90%以上あってもこの制度は使えません。共同行使が認められないことになっています。

 どうしても行使したい場合は複数の株主が集まって一つの会社を作り、それが単独で90%越える必要があると思います。

 特別支配株主が少数株主の株式を買い取るという制度なので、会社は本来関係しません。この場合は定款の変更や株主総会の決議なども不要です。但し、公正さが必要であるため取締役会の承認が必要となります(179条の3)。

 問題は価格ですが、公正な価格、つまり時価を基準とした適正価格ということになろうかと思います。少数株主は価格に不満である場合には裁判所に決めてもらえます。


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