№1587 会社経営は行き当たりばったり?
事業計画を組んで将来を展望し,着実に経営実績を積み上げていく。これが誰もが理想とするマネジメントだ。
しかし,実は経営は案外いきあたりばったりではなかろうか。成功した経営者は何か自分に運のようなものがあって,必ず何かが起こると信じているところはないだろうか。
事業計画に基づく着実な経営と「運」というのはどんな関係にあるのかしらとよく思う。
「グローバルニッチトップ企業論」(白桃書房)にはいくつもの事業例が紹介してある。たとえばイノベーションはユーザーニーズから生まれてくる事が多い。お客さんが求めているものを察知して商品を提案する,その積み重ねがイノベーションにつながる。このお客さんのニーズを知ること,それが受け入れられていくことはある種の偶然が司っている。
さらに国内市場のみならず,海外市場に展開する場合,多くは最初は小さな輸出入から始まり徐々に拡大し,さらに海外進出を果たすパターンが少なくない。小さな輸出入から徐々に拡大していくところには,ちょうどいいところに連携ができ,ちょうどいいところに市場があったと「運」を感じるところはないだろうか。
中小企業でニッチを獲得すると安定するが,経済情勢の変動で極端に変化してしまうことは少なくない。レコードからCDに変わり,今またインターネットにとって変わられようとしている。関連する産業だって突然需要が無くなってしまう。でも,別の商品がうまい具合に成功して会社は生き延びていく。これも「運」と言えば運かもしれない。
当たり前のことだが,当然変化を前提とした経営を行い,変化に応じたいくつかのメニューを計画に潜ませておくことが生き延びるチャンスを作ったろうし,「運」を呼び寄せたということになる。
一つの機会を捉えて放さない強い感性が「運」の良さを作り上げている,というのは今さら言うまでも無いことかな。