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№1350 部品納期の遅れと損害賠償 (2)

№1350 部品納期の遅れと損害賠償 (2)
      №1349より続く → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/38472115.html

 製造業のようにいくつかのサプライチェーンがある場合,一カ所でつまづくと次から次へとつまづき,最後には大きな製品ができなくなってしまうことがある。私たちはこれを因果の流れ,あるいは「条件関係」と呼んでいるが,裾野はいくらでも広がり,関係がある範囲を広げれば何億の損害が発生することがある。

 これはちょっとまずい。
 小さな部品の単価が0.3円なんて部品で,せいぜい月に300万円ぐらいの売上の部品のために何十億も支払うなんていうのは不公平だ。大きなリスクを背負わせるなら大きな利益をもたらすべきだ。

 そこで,私たちは相当因果関係という考え方で損害の範囲を区切っている。
 それは契約時において,もし遅滞が生じれば,生じるであろう通常損害は賠償する。特にお互いの合意,あるいは契約時の内容として特別に予見されていた範囲の賠償は特別な損害として賠償するという考え方だ。

 たとえば,そういう場合に,部品の単価,利益率なども考慮される。そのような契約から当事者はどこまでのリスクを引き受けて契約したいえるかというのも判断材料になる。また,このような遅延が本当に次の損害を引き起こしたといえるほど,明快な関係があるか問題となる。

 そもそも,遅延そのものが,別の理由で発生しているかもしれない。たとえば,注文主の発注ミスといえるかもしれない。いつもと違うことをしたために間違いが起こったかもしれない。

 こうした納期の遅れなど,大きな問題になりそうになった段階で必ず弁護士を入れて協議することをお勧めしたい。弁護士はこうした問題について,遅延についての事実関係を整理し,さらに,損害の範囲についての法的見解を用意する。こうした弁護士と相談した結果を経営者は頭に入れて,相手方との交渉に臨むことになる。ここのところで,きちんと整理されているかどうかで交渉力にかなり違いがでることがある。