№1749 継続的取引契約の打ち切り
製造業などについては長期にわたる契約関係にはいることが多い。長期契約を見越して設備投資をすることもあるのだから、こうした継続的取引契約をいきなりうちきることは許されない。裁判例は、契約をうちきることは許されるが、一定期間の予告が必要であるとしている。
しかし、いくら継続的取引があるといっても問題があれば打ち切らざる得ない。たとえば、相手がいくら言っても納期を守らない、不良品が多いなどの事情があれば、やむえないことがある。
東京地裁の最近の事例だが、モールと呼ばれる電線カバー部品の製品を製作する会社の事件だ。この会社は納期遅れが常態化していた。何度も納期遅れを指摘して是正するように求めたが変わらなかった。そこで、発注者側は注文量を落としたところ、逆に一定数量の発注義務違反があるとして訴えられてしまった。
裁判所は納期の遅れが常態化していることからすれば、発注量を減少されてもやむ得ないとした(東京地裁27.2.6判時71頁)。
一般に以下の事情がある場合には取引の停止はやむ得ないとされている。本件は①、②にかかわるものであった。
① 相手方の債務不履行
② 信頼関係破壊行為
③ 信用不安
④ 背後事情の変化
ところで、この事件では、数量を減らされたことに反発して、一切の製造を引き受けなくなってしまった。これに対しては逆に発注者側が、損害賠償を請求し、東京地裁はこれを認めた。つまり、基本契約がある以上、発注者に対しては受注する義務があるとしたのだ。