今日、殺人事件の弁護の依頼が来た。当事務所は暴力団などの事件は一切引き受けない。殺人事件であろうがなんであろうがそれは変わりない。しかし、この事件は暴力団など反社会的な団体とも関係がないようだし、どうもえん罪の可能性もあるため、対応することにした。私の友人である刑事を専門的に手がける弁護士を主任とし、当事務所の若手弁護士が依頼を受けることになるだろう。
世間は殺人犯の弁護を引き受ける弁護士にあれこれ言うが、弁護士たる者、そんなことはどうでもよい。ひとたび引き受けたからに被告人の権利擁護のために全力を尽くす。これが弁護士の役目だ。犯罪者に対する社会的な非難の追及は検事の役目であって、弁護士の役目ではない。そこの割きりは極めて重要だ。
うちの若手弁護士に「君、殺人事件やるか。」と尋ねたところ、二つ返事だった。若手というのはこうでなければいけない。こんな重大事件で腰が引けるようなら、うちの事務所には向いていない。