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№924 社長たちの苦悩、人生の深み

№924 社長たちの苦悩、人生の深み
 中小企業の会合で経営指針の役割について議論された。社長はいつも責任を持たなければならない存在だ。顧客に対する責任であったり、家族に対する責任であったり、従業員に対する責任だったりする。

 経営が無風で平凡ならば決められたことを決められた通りにすればよい。しかし、世の中そんな簡単にはいかない。経営が急激に伸びていく、あるいは急激に落ちていく、社長が交代すると波瀾万丈に満ちている。そんな大海の波に揺れている状況下、役立つのは経営指針、経営理念と言われるものだ。

 自分の人生を振り返り、自分はどのような顧客に支持されてきたか、自分が何を社会に訴えて事業を続けてきたか、自分の守るべきものは何か、自分の将来像は何かを私たちは考える。そして、経営者としての理念を定め、理念に基づいて経営戦略、経営計画などを組み立て行くことになる。

 会合では社長たちの苦悩が披露された。ある会社では恐るべき不況下、いったん会社を閉めた。その上で息子とともに事業を始めたという。閉めた会社がどのように処理されたか分からないが、この社長は今を「リベンジ」の時期だという。自分の売ろうとしている商品、技術に強い自信をもち必ず社会に受け入れられると考えている。

 ある会社では多額の負債を抱えた会社から社長が退場し、部長が社長を引きついた。15年、社長は苦労を重ねてついに借金を返済した。

 別の会社では夫が死亡し夫人が社長として引きついた。社長は未来が分からず、眠れない日が続いたそうだ。しかし、今では徐々に前向きになっている。

 今回、経営理念の効用がテーマになったためにこうした「苦悩」について語り合うことになったのであるが、当然のことながら社長としての喜びも多い。企業理念を追求することは人生を追求することでもある。常に正しさを追求し、羞じない人生を積み上げることで人生の年輪、人生の深みを作り上げていくことになる。こうした体験は社長にしか味わえない人生の喜びだ。