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№811 有価証券報告書、最初だけでも読んでみよう。

№811 有価証券報告書、最初だけでも読んでみよう。
 中小企業のお客さんは大手企業であることが多い。取引の有価証券報告書に眼を通してみるのも悪くないと思う。最近ちょっと事情があって大同特殊鋼のことを調べている。

 最近有価証券報告書を読む機会があって、意外に役立つところがあることが分かった。
 一昔前は、有価証券報告書を入手するのもけっこうめんどうな上、費用も必要だったが、今ではウェブサイトから簡単に入手できる。

 私が読んでいるのは平成22年4月1日から平成23年3月31日までの株式会社大同特殊鋼有価証券報告書だ。
 全部で133頁に及ぶものだが、関心のあるところを適当に抜き出して読んでもよいかと思う。

 例えば、同社の「課題」ではグローバリゼーションについてこんな情勢分析がしてあるこの会社は「製造業の海外シフトによる国内需要の縮小」という見方をしていることが分かる。

「自動車・産業機械等の当社グループの主要な需要分野においては、今後製造業の海外シフトによる国内需要の縮小・・・・など、将来的に大きな構造変化が到来すると考えられます。」

「こういった経営環境変化に対応するため、・・・・抜本的な事業構造改革を推進してまいります。」

 そして、アジアを大同特殊鋼の市場と見て、海外進出をさらに推進するとしている。

 「アジアを中心とした新興国市場の成長は・・・・それに伴うインフラ需要の拡大、自動車など耐久消費財需要の増加によって当社のビジネスチャンスも大きく拡がって行くと考えられます。」

「平成22年度の取組みとしては、11月にインドの大手特殊鋼専業メーカー、サンフラッグ社と技術支援契約を締結し、インド市場での事業基盤の足掛りとするべく協力関係を築きました。また平成23年1月には大同特殊鋼(上海)有限公司を設立し、中国における当社グループの戦略活動拠点として事業活動を開始しております。」

 つまり、この会社は明らかにアジアでの生産を求めている。しかし、おそらく海外に拠点工場を作るには何千億とかかりリスクが高すぎてできないのだろう。