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№812 有価証券報告書から

№802 有価証券報告書から
 仕事の関係から株式会社大同特殊鋼有価証券報告書を読むことになった。こういうことが弁護士の仕事かしらと思うこともあるが、本当に仕事なのだからしかたがない。

 有価証券報告書というのはさすがによくできている。

 大同特殊鋼は大正5年までさかのぼることができる会社であるが、さまざま合併、名称変更などを経て、平成25年に大同製鋼株式会社の商号から大同製鋼株式会社となり現在に至り、商号の通り特殊鋼材の製造を中心に関連製品を製造販売する会社だ。

 特殊鋼というのは鋼材に、ニッケルやクロム、銅などを混ぜて作られる合金で、混ぜる材料によって硬度、強度、粘り強さ、耐磨耗性、耐熱性、耐食性など特別な特性を持つ金属となる。この特性から特殊鋼と言われるのだが、そこには高度な技術が存在する。

 大同特殊鋼は歴史的にはある時期、特殊鋼に特化した事業を展開し、今日では知多工場を中核工場にして特殊鋼を作り、さらに特殊鋼から自動車部品や電子部品などを作り上げて販売している。

 単に特殊鋼の販売だけを手がけるのではなく、さらにその先の部品の「」バリュー」も自社に取り込んでいる模様が有価証券報告書から簡単に見て取れる。
 大同特殊鋼では特殊鋼鋼材、電子・磁性材料、自動車部品・産業機械部品、エンジニアリング、新素材、流通・サービスの6部門にセグメントが分けられ、さらに関連して子会社が設立されている。

 この流通・サービスまで自社で事業として立ち上げている点についてはどのような経営判断があるかは聞いてみたい気がする。ともかく、厳しい競争を勝ち抜くために特殊鋼で特化して、徐々に部門を広げるやりかたや、海外の企業との事業提携による展開など、有価証券報告書を眺めていると、この会社の特性が見えてくる気がするから不思議だ。

 なお、自社のお客さんが大同特殊鋼だったり、大手特殊鋼を生産企業だったりする中小企業は、研究部門も報告を読むこともお勧めする。ここには大同特殊鋼が現在最も注目している分野、ほしい製品の視点が示されていると思う。