№491 雇われ社長の連帯保証債務
大きな企業になると、特定の部門を子会社として独立させて、社員を社長として派遣することがある。社長となった社員は思う存分能力を発揮できるし、会社としても会社全体の規模を減量化できる。
大きな企業になると、特定の部門を子会社として独立させて、社員を社長として派遣することがある。社長となった社員は思う存分能力を発揮できるし、会社としても会社全体の規模を減量化できる。
しかし、時々、どうしてわざわざ会社を作るのか分からない事例がある。別会社にするとは言っても、社長は親会社に完全に従属し、社員であることと変わりない。それでいて、会社の債務について連帯保証させられてしまう。こんな会社は往々にして経験のない若手社員を社長にしたりしている。
私たち弁護士の目から見ると、こうした会社はあやしい。何か責任を逃れるために、形式的に社員を社長としているか、社員を利用して新しい借金をしようとしているか、いずれにしろ逃げることを目的としていると感じる。こいうことをしている会社とは取引しないことをお勧めしたい。
最近出た最高裁の事例だが、これはかなり社員がかわいそうだ。この事例では会計部門を独立させて会社とし、その会社に別会社が金を貸すという方式だ。別会社はやはり親会社の完全子会社だ。社員は新米で社長にさせられ、400万円の連帯保証債務をさせられた。
これだけ書くだけで本当に怪しい。
親会社は会計部門会社の社長に連帯保証債務の履行を求めて提訴した。つまり、社長になることを命じておいて保証人にさせておいて、別会社を通じて保証債務の履行を求めたのである。しかし、最高裁はそのような主張は権利濫用であるとして認めなかった(最判22.1.29判時2071号38頁)。正しい判断である。そもそも、そんな連帯保証債務を提訴した弁護士も弁護士だ。
親会社は会計部門会社の社長に連帯保証債務の履行を求めて提訴した。つまり、社長になることを命じておいて保証人にさせておいて、別会社を通じて保証債務の履行を求めたのである。しかし、最高裁はそのような主張は権利濫用であるとして認めなかった(最判22.1.29判時2071号38頁)。正しい判断である。そもそも、そんな連帯保証債務を提訴した弁護士も弁護士だ。
連帯保証債務についてはこれほどでなくてもきわどい事例がある。
金融機関の連帯保証債務の請求が権利の濫用に当たるとして否定された事例がある。
根保証という契約があるが、経営状態がきわめて悪化しているのに追加融資した事例について、連帯保証の履行を認めなかった事例がある(最判48.3.1金商358号2頁)。
金融機関の連帯保証債務の請求が権利の濫用に当たるとして否定された事例がある。
根保証という契約があるが、経営状態がきわめて悪化しているのに追加融資した事例について、連帯保証の履行を認めなかった事例がある(最判48.3.1金商358号2頁)。
尚、上記の判例はいずれも連帯保証債務の履行請求を権利濫用であるとして退けた珍しい事例である。