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№1944 印鑑は法律上どれほど大切でしょうか

№1944 印鑑は法律上どれほど大切でしょうか

 印鑑は中国、韓国、日本と東アジアでは重要な意味を持つ。古来、玉璽は帝王の証としてこれを所有することに重要な意味を持った。

 法律上も印鑑は重要な意味を与えている。取引慣習から言っても「判を押したらおしまいだ」という言葉が通用し、押印によって確定的な意思表示として意味を持つ。逆に判のない契約書では疑わしいということになってしまう。

コンプライアンスから言っても管理をしっかりしておくこと
 会社では実印、銀行印、決済印といろいろ使い分けていて、利用者が決められている。実印は外に持ち出さないのが原則である会社も多い。

 実印、銀行印、決済印などいろいろな印があるが、法的に言うと本人の意思が明示されていることが重要であって、印鑑の種類で法的効果が異なるということはない。

ハンコが押してあると真意に基づくものと強く推定されます
 印鑑証明はよく3ヶ月経つと無効になってしまうというようなことが言われるが、印鑑証明発行日から3ヶ月経とうがどうであろうが、印を押してしまえばおしまいだ。極端なことを言うとイモ判だって、ハンコであれば法的効果に異なることはない。

 契約書は契約の意思を証明するもので直接証拠と呼ばれているが、印影が本人の印鑑であると、本人が押したものと推定されてしまう(最判S39.5.12)。印影が本人が押したものであれば、「真性に成立した」つまり、本人の意思に基づいて作成された契約書であると推定される(民訴法228条4項)。
 
 この推定はかなり強力な意味をもち、ハンコが濫用されたと証明しないと打ち破れない。実印となると普通は人に渡さないものなので推定はより強力になる。

実印を押したけれども契約は無効であるという例もあります
 こうした推定が打ち破られることもある。多いのが家族が勝手に実印を持ち出して判を押してしまうような場合だ。経理を担当している妻が勝手に社長の印を持ち出して社長を連帯保証人にしてしまうことがある。最近では連帯保証する場合には本人確認するのが普通なので本人確認をしていないような事例は、たとえ実印が押してある契約であっても打ち破られる可能性がある。

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