名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№326 善意の第三者

№326 善意の第三者
法曹界では、「善意」、「悪意」という言葉がしょっちゅう出てくる。

こちらは「善意」ですから、保護されると思います。
そこまでやっていたら、それは「悪意」と見られてもしょうがないんじゃないですか。
とか、弁護士や裁判官が日常的に使う言葉だ。

この「善意」、「悪意」というのは世間の人たちと違った意味で使われており、純粋に法律用語だと言っていい。つまり、「善意」というのは「知らない」という意味で、「悪意」というのは「知っている」という意味だ。

英訳すると、法律用語の「善意」というのは"without knowledge" 悪意というのは"with knowledge"というらしい。日常用語の善意は"good will"というところか。

たとえば、人の土地を不法に占有している場合がある。よその土地だとは知らなかった。親からはここまでだと聞いていた。などという場合は、「他人の土地」であることを知らないから「善意」であるという。つまり、「他人の土地」であることに「善意」であったといういい方をする。

勝手に判子をつかって、契約書を偽造することがある。会計責任者が判子を使っていたら、第三者には分からない。普通は、会社がちゃんと判子を押したと思うだろう。こんな時には私たちは「善意」であったと言う。つまり、権限がないことを知らなかったというのである。知っていれば「悪意」であるという。

法律の世界では時々、「善意の第三者」という言葉を使う。知らなかったのはしかたがない。相手が悪い。という時には保護してやらなければならない時がある。このときには善意の第三者として保護されるという言い方をする。

慣れれば、どうってことないのであるが、普通の世界に住んでいる人にはわかりにくい。但し、もう一つ、「害意」という言葉あって、これは悪質な傾向を示す言葉だから世間に近づく。