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№2099 ソフトウェア開発トラブルの特徴

№2099 ソフトウェア開発トラブルの特徴

 ソフトウェア開発トラブルはかなり難しい。

1. 二重の専門性
  システム開発,ソフトウェア開発では次の点で二重の専門性があり,第三者が問題点を解明するのが難しい。

 ① ITという特殊な用語を使う,専門性の高い領域であること
 ② 注文者側(ユーザー)自体が専門性が強く,その業務内容を理解することが難しいこと

2. 契約があいまいであること
  通常請負契約の場合,成果物がはっきりしている。たとえば,家を建てる,工作機械を作るなどという具合だ。しかしIT関連契約はそうはいかない。次の点であいまいなところが多い。

 ① 成果物の内容が初めから決まっていない。
   当事者が協議し,要件定義を明確にするものの,それで中身が確定するという訳でもなく,さらにそれに基づいて制作する過程でも調整が必要になる。作成中,変化し,納期が遅れた場合,それを納期遅れとみるか,追加の注文とみるか争いになったりする。
 ② 完成後も使い勝手にあわせて調整が必要になる。
   システムなどは使ってみて,初めて使い具合がわかる。例えばバグと言われている問題点もあるだろうし,ユーザーが使ってみて調整しなければならないということは必ず発生する。それをミスとみるか,追加注文とみるかは問題となる。
 ③ 成果物が目に見えない
   物を作るならすぐわかるが,ソフトウェアは目に見えない。

3. 証拠が整理されていない
 ① 議事録がIT業界用語で作成される
   会議の議事録は事業者側が作成する。ウォーターフォール、プロトタイプなどというカタカナ語はもちろん、日本語だって業界用語はわからないことが多い。
 ② 当事者のやり取りはメールでされる
   ソフトウェア開発ではユーザーとIT業者が頻繁に打ち合わせをする。多くはメールのやり取りなのだが、その場その場の会話なので情報が断片的だ。当事者でしかわからないニュアンスもある。意味なく長いメールを作成する者もいる。これらを読み解くは、大変な作業だ。
 ③ 担当者がいなくなっていることあること

 という具合でいろいろやっかいな問題がある。こうしたIT関連契約では契約書による紛争の予防というも限界があり、契約履行過程をいかにコントロールするかが課題となる。

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