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№290 第三セクター

№290 第三セクター
 日米欧を比較した場合、いろいろな違いはあるが、NPONGOのスケールの違いに驚かされる。

 米国の環境保護団体について言えば、シエラクラブという名門の自然保護団体は130万人の会員を擁している。有名なグリーンピースは世界で290万人の会員、予算規模も212,316,000 ユーロである。
 
 活動のスケールも大きい。NRDCという環境保護団体は政府のシンクタンクとして機能している。この団体は民主党共和党などの議会グループ、政府機関にデータや、政策を提案し、現に政治を動かしている。政府機関との人事交流も活発で、NGOでのキャリアが政府や、議会でも通用している。

 アジアや、アフリカ地域には様々な環境保護団体がある。アジアについても、香港、東南アジアなどでは活発な活動をしている。これらの環境保護団体の中には何人もの専従スタッフを持ち、専属の弁護士職員も持っている。実にその資金源は欧米の企業ファンドだったり、環境保護団体の支援だったりする。

 このようなことは、何も環境保護団体に限らず、女性の人権の問題や、民主主義といった問題でもそうだ。あるいは、自由主義経済の実現や中小企業団体のためのNGOもある。
 
 こうした半ば公的団体は政府でもない、民間でもない第三のセクターと呼ばれている。日本の第三セクターは民間政府共同出資の株式会社などだが、行政としての民主的な責任も負わず、民間としての採算ベースでの責任も負わないという無責任きわまりない存在となっている。

 この第三セクターは欧米の政治、社会、経済を大きく動かす無視できない存在になっているのだが、私は民主主義社会にとって第三セクターの発達は必要だと思っている。民主主義社会では多様な意見が存在が前提だ。多様な意見が同時に存在し、それが何らかの調和を作るであろうというのが民主主義社会の制度設計だ。

 しかし、同時に国民は常に不特定多数として扱われ、社会全体の利益を個人一人一人に還元すれば抽象的になり、利益は希薄化する。その分だけ個人が社会に埋没しやすい。だから,個人が自分の意見を代理してくれるNPONGOを選ぶこのができ、その団体の活動が社会を変化させていくというプロセスが必要だと思う。多数に支持されない環境保護団体は社会が必要ではないと考えた団体なのだ。一方,多数に支持されいれば社会はそのような団体の活動を望んでいると考えるのだ。