名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№289 信用保証協会と事業再生

№289 信用保証協会と事業再生
信用保証協会とは私たちはよく出くわすのだが、よくわからないことが多い。

 信用保証協会付き融資が支払えなくなれば、代弁済が待っている。中小企業の社長の場合、実はここの仕組みを知らないため、どうってことないと思ったり、もう会社は倒産だと思ったりすることが少なくない。

 代弁済前における信用保証協会と企業との関係は「事業維持の課題」 だとすれば、代弁済後の関係は「事業再生の課題」と言っていいかもしれない。

 このような事故が起こった場合には、債務は滞っているから、「利息」は「遅延損害金」に代わり、とんでもない割合になる。信用保証協会という公的団体の立場としては元金相当額と「遅延損害金」を返してくださいということになろう。社長は連帯保証人になっているから社長さん個人も払ってくださいということになる。

 普通の弁護士であると、ここで「自己破産しかありませんな。」ということで、自己破産を勧める。しかし、中小企業の社長がいまさらどうやって働けるだろうか。家族の生活はどうなるだろうか。破産はいつでもできる。

 代弁済が行われると保証協会は国の中小企業信用保険から元本の7割又は8割が保険金として信用保証協会に支払われる。この保険金は中小企業信用保険法により信用保証協会に回収と返納が義務付けられているとは言え、ともかくそんな急がなくてもよさそうだ。

 私がよく経験するのはとりあえず、少しでも払ってくださいと言われる。払っている間は、ともかくも時間が過ぎていく。抵当権の実行を待ってくれることも多い。しかし、債権を一部放棄するような和解をしない。これでは、本当に先の見通しが立たなくて困る。

 この場合、責任共有制度との関係はどうなっているだろうか。銀行が2割ほど責任を持っているから、銀行としては回収を図らなければならない。抵当権だって実行したくなるだろう。保証協会は待つつもりでも、銀行はそうは行かないかな。

 もうひとつ、よくわからないのは、保証協会債権回収(株)の役割だ。保証協会は回収会社に取り立てを委任し、回収を図ろうとする。サービサーの場合、債権を買い取ることが多く、サービサーの判断で和解もできる。

 しかし、保証協会債権回収(株)の場合は取り立て委任だから、独自の判断で分割弁済に応じたり、債権放棄することはできないはずだ。そうなると、事業再生に協力しましょうということにはならないのかな。私の経験ではサービサーと交渉してうまく債権放棄までこぎ着けた事例があるが、保証協会債権回収(株)の場合はどうなんだろう。