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№2391 破産とは何だろうか

 企業が債務超過になって、キャッシュフローが途切れると企業は「倒産」になる。倒産というのは法律用語ではないが、一般的には破産をイメージすることが多いのではないか。こうしたコロナ不況の時代になると社長の頭には「倒産」の二文字が湧き、夜も寝られないという緊張した時期を過ごすことになる。こんな時、弁護士と相談して「倒産」は倒木に残された「成長の芽」を残す作業だと考えることができればかなり気持ちは楽になる。

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1. 極限時の弁護士の役割 
 こうした危機的状況にあって、事業者は逃げられない。強い精神力が要求される。社員は辞めればすむ、社長は違うなどと自分に言い聞かせて奮闘するのだが、時に心が折れそうになる。

 

 こうした極限状況にあって、弁護士の役割は生き残りをかけた戦いに、常に活路を見いだす作業を、社長と共に考えるところにある。弁護士は社長の健康にも気をつけなければならない。時には社長に睡眠剤を使ってでも睡眠を勧めたり、天気のよい日に散歩して日光を浴びることを勧めたりする。

 

2. 破産とは何か
 破産法という法律があって破産はこの法律の下で進められる。破産が開始すれば会社は裁判所の管理下に置かれ、破産管財人が会社の財産を集めて、これを分配する。この手続きを破産言う。分配が終われば破産は結了して、会社はこの世からなくなる。破産以外にも特別清算という破産の簡略版がある。

 

 借金を切り捨て事業を活かす法的手段としては民事再生という手法がある。あるいは別会社を設けて採算部門を分割して事業譲渡などする手法もある。事業譲渡する場合には残された会社は破産したり、税務署に廃止届だけ出して放置するということもある。

 

3. 破産など法的手続き対する考え方
 いずれにしろゲームセットとなり債権者は債権回収を諦めざるを得ない。破産は債権をいったん消してしまうので、実は生き残り戦略の一つにもなりうる。
 つまり、破産など法的手続きは事業の終わりではなく、倒木の切り株に残された「成長の芽」を残す作業だ。事業に利益を生み出す場所があるかぎり事業は生き残る。
 危機に直面したときに、奮闘して事業が回復すればよし、最悪破産になっても生き残る場所があるとという考えは多くの経営者にとって、心の支えになることも少なくない。

 

4. 破産の危機にまず行うこと
 ① 破産に至った経過、原因の究明
   経過を分析して、原因を取り除くことで生き残れないか検討する。安易なコンサルは従業員の解雇という言葉を簡単に口に出すが、これは大きな間違いだ。


 ② 事業の中に利益を生み出す場所はあるか、利益になる場所はあるか
   利益を生み出さなければそもそもその事業はやる価値がない。とっとと辞めて働きに出るべきだ。利益を生み出す場所があれば、私たちはそれをなんとか切り離せないか考える。


 ③ 最後のキャッシュ(体力)はどこにあるか
   倒産しかないと思った会社でも実はキャッシュはどこかにある。手元に残された最後のキャッシュを、新事業、再生事業につぎ込むすべを考えることになる。

 

4. 透明性、正当性の確保

 この最後のお金の使い方が、実は弁護士の重要な判断となる。公明正大とまで言わないが、透明性と公正さを確保しつつ、生き残りのために最後のお金を使うことになる。ここをきちっとしとかないとモラルハザードを起こし、経験的には結局会社は潰れてしまう。

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