顧問先との間でもテレワークの相談が出ている。
テレワークは実に東京オリンピックの混雑回避から叫ばれ始めた。わずか数ヶ月前のことなのに今から思うと夢のようだ。
テレワークの最大の問題は公私のけじめがつけにくいことによる労働者の時間管理だろう。終業規則上は就業場所の指定したり(自宅? サテライトオフィス? 公園?)や、労働時間についてテレワーク用就業規則が存在する。
私自身はテレワークをルールを作る際には次の原則を心するべきだと思う。
① 会社も個人も公私のけじめをつけ、めりはりの効いたルール作りをする。
② 私生活上の諸問題が入り込むことは避けられない。
③ 個人の倫理を信じる。
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1. 労働時間制
労働時間、休憩時間について当然労働基準法が適用される。時間外、残業、深夜労働、休日労働に関する事項や、移動にかかる時間の取り扱いも定めておく必要がある。変形労働時間制(32条の3、同5)やフレックスタイム制(32条の3)、裁量労働制(38条の3、4)など諸制度も検討に入る。
2. 加重労働の回避
テレワークの場合、経営者側としては目一杯働かせようと仕事をどんどん送るということになりがちだ。また、会社では電話、接客、トイレ、同僚との雑談などちょっとした変化が実は息抜きだったりする。会社と労働者との日常的なコミュニケーションは不可欠だ。例えば、毎朝10分、zoomで簡単なグループミーティングをするとか、ちょっとした工夫が必要かもしれない。
厚生労働省の出している「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は参考になるかもしれない。
3. 時間管理
通信機器にソフトウェア、アプリケーションを挿入したり、中にはWebカメラを利用する場合もあるようだ。しかし、職場は私生活の場所にもなるので一方でプライバシーを重視した社内政策が必要となる。実施目的、実施時間帯、本人の同意などモニタリングに十分配慮しなければならない。
労働管理の実態を記録することは企業防衛にとっても必要だが、様々な補助金を得るのにテレワークの実態を示す証拠が必要になるので、工夫を要する。本人にメモをとらせ、あとからタイムカードに記載するということもやむを得ないかもしれない。
4. 中抜け時間について
当事務所のお母さん事務員はテレワークをしているが、新コロナで学校が休みになり昼ご飯を作らなければならない。1時間の休憩では対応できないそうだ。当事務所では1時間の有給、もしくは休業措置をとることにした。中抜け時間を休憩時間としてとらえ、始業、就業時間を変化させる方法もあるだろう。中抜け時間はオフなので、仕事上の指示をしないように注意を要する。