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№1187 破産にかかる費用、企業が倒産する時

№1187 破産にかかる費用、企業が倒産する時
 いよいよ資金ショートし破産しかないというとき、いったいどのようなプロセスをたどるのだろうか。債権者が自宅にまで押し寄せ、社長も家族もどこかにかくれなければならないのだろうか。今時、逃げなければならないような事態はまず考えられない。むしろ、逃げる方がかえってややこしくなる。弁護士ときちんと相談して、経営者としての責任を最後まで全うするべきだ。それが、自分の将来のためにもなる。

 会社の資金ショートが確実であって、事業自体が利益を生み出さないと判断された場合には破産手続きに入る。会社や社長が借金に追われる事態を考えると破産して借金の問題にけりをつけておいたよい。

 その場合、負債が1億円程度、債権者としては銀行が2行から3行程度、その他外注、仕入れ、労働債権、社会保険料などといった、比較的小規模会社であっても普通は150万円から200万円ほど必要だ。

 このうち、一番大きいのが裁判所に納める予納金と言われれるものだ。これは主には管財人の報酬確保のために裁判所に納められる。普通は60万円ぐらいで、極簡単な事例では40万円で済むことがある。また、社長個人の破産の予納金として20万円から30万円必要となる。そのため、裁判所に納めるお金だけで最悪90万円ほどつかってしまう。

 これに加えて弁護士の費用が60万円ぐらいは最低必要になるため、150万円は一応見ておかなければならない。実際には200万円ほど必要となる場合もある。

 しかし、中小企業の場合、ぎりぎりまで経営を追求するために、150万円とか200万円とかいった巨額な費用が支払えない場合がある。

 こうした場合、遠回りになるが、社長個人の破産を後回しにすることがある。これは会社破産を先行させ、破産を終わらせ、その後に個人が破産する場合だ。会社破産の場合、資産が会社・個人と使いわけられて、どこかに隠すのではないかということが問題になる。そのため、こうして分離させるようなことは裁判所はきらう。

 しかし、会社破産のときに誠実に対応し、財産をごまかしていないなと管財人が判断すれば、後から申し立てられた個人破産が有利に進むことがある。すでに、全てを失っていて、財産隠しがないというということであれば、個人破産の時に「同時廃止」という方法で、破産手続きを進めることを許すことがある。

 この「同時廃止」は管財人がつかないため、予納金も3万円程度ですむ。