ひーちゃんは来年度は大学院2年生になり、卒業後は就職予定だ。そのひーちゃんの就職活動が始まっている。ひーちゃんの大学でも就職戦線はきびしいようだ。
あの不器用なひーちゃんは大丈夫なのだろうか。履歴書はきちんと書いているだろうか。履歴書に添えるレポートどんなになるだろうか。相手企業を意識した内容になっているだろうか。面接の段になって、いつものぶっきらぼうではまずいよな。などと、心配はつきない。
しかしだ。ひーちゃんの年齢から言って、親が口出しする場所はない。第一、専門も違う。でも、いいたくなっちゃうのが人情で、ぐっとこらえている。ときどき、かあさんは「そんなに心配なら電話したらいいじゃない。」と気安く言う。できるわけがないじゃないか。「おい、ひーちゃんに電話しろよ。」とかあさんに電話させると、「おとうさんがね、心配だから電話しろっていうのよ。」と平気でうちわ話を暴露する。「あなた、電話に出る？」とさらに追い打ちをかける。そして、わたくしはしぶしぶ電話に出るのだ。
