名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№796 倒産の危機に際して、どのように処するか。

№796 倒産の危機に際して、どのように処するか。
 倒産の危機を感じたら必ず専門家と相談するべきだ。例えば、明白な売上の減少があって、その傾向が止まないときには、事業者は資金ショートに恐怖にさらされる。この恐怖は社長になったことのない人間には分からない。遅くともその段階では税理士、弁護士などの専門家にきちっとした相談を行うことが必要だ。

 このきちっとした相談というのは何だろうか。社長は常に平常心を保つべくがんばって欲しい。
 
1. 経理を正確にする。
2. 経理を戦略的にする。
3. 当面のキャッシュフローを予測する。
4. 最良と最悪のシナリオを作る。

経理を正確にする】
 そこそこの企業であれば月次の決算ができる程度には経理ができている。しかし、中には経理の問題を会計事務所に丸投げにしたり、決算期に無理矢理追いつかせている企業もある。経理がいいかげんな企業ほど倒産しやすい。

経理を戦略的に利用する】
 企業のキャッシュフローを当座だけに頼って判断していることは論外だ。貸借対照表損益計算書のある程度の理解は必要だ。企業規模が大きい場合には貸借対照表の推移も正確にしなければならない。
 さらに、経理を戦略的に利用することも必要だ。例えば、特定の部門に会社の命運をかけているような場合、部門別の会計は必要不可欠だろう。特定の商品、商流に会社の命運がかかっている場合にはその商品、商流に着目した会計が必要だ。当該商品の利益率は適正だろうか。当該商品につぎ込んでいる投資額は適正なのだろうか。

【当面のキャッシュフローを予測する】
 銀行などに対する返済金は正確に予想できる。それ以上の返済可能なお金(利益、減価償却費、その他借入金)が確保できなければ倒産する。当面借入で預金があったとしても、何ヶ月かでそれが無くなる可能性がある。その場合には新たな借入か、リスケかで対応しなければならない。そのためには、キャッシュフローの予測が正確でなければならない。

【最良と最悪のシナリオを作る】
 いろいろな資料のもと、売上、ダウンサイジングがそこそこ成功して、切り抜けられる最良のパターンのシナリオを作り、それを目標に経営を進める。
 資金ショートした場合の最悪のシナリオを作り、それに備えて生き残りをかけた準備を行う。そのときには、銀行への支払いを停止しても経営が維持できるか、破産と事業譲渡、会社分割を組み合わせて生き残ることができるか、民事再生などの手続きを利用するかなど、生き残りをかけた最後の手段に打って出るシナリオを作る。このシナリオがあることで、経営者はある種の覚悟を作り、最良のシナリオに向けて邁進することができる。