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№2359 AI社会の危険と希望

 日系MOOK「AIフロンティア」はAIの今を知る上にはかなりいい特集だ。
 AIはやれる範囲が定まり,人との協同関係を模索する時代に入ったようだ。AIやIOTにかかわる誰もがテクノロジーと人間との融合関係を夢見て先陣を競っているように見える。しかし,彼らの感覚にAIを使いこなす成功者とAIに使われる非成功者の差別意識が潜んでいないだろうか。だとしたらこれはとても危険なことだ。

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AI利用の教育プログラム

 MOOKにはNPO法人CANVAS井戸奈々子氏のインタビュー記事がある。彼女は子供の教育にプログラミング教科を取り入れるための事業に取り組んでいる。子供たち全体のデータ,プロフィールというデータをAIなどが分析し個別最適な教育プログラムを作ろうとしたり,あるいは人の作業とAIとの協同作業あり方を習得する教育プログラムを実践しようとしている。

 

彼女はこんなことを言っている
「AIが発展したら,AIを使いこなす人とAIに使われる人に分かれると言われます。AIに使われる人にならないために,プログラミング教育で基本的なリテラシーを学びましょう。AIに使いこなす人になって,自分の生活をより豊かにするために,新しい仕事や趣味やライフスタイルを生み出す人が増えてほしいと思います」

 

「使いこなす人」と「使われる人」

 彼女がどのようなつもりでこのようは発言をしたかは,さらに詳しく聞かないとわからないが,彼女がAIを「使いこなす人」と「使われる人」に分けていることは間違いない。
 彼女の意図は別にあるかもしれないが,人とAIとの協同関係にもいろいろなレベルがあって,より高度に統合されるレベルとさらに底辺に広がるレベルとの三角形のヒエラルキーがあるかもしれない。

 

エリートたちの頭にある階層構造の危険

 一口に「使いこなす人」と言っても,その人はより高度な「人+AI」関係に「使われる人」なのかもしれない。個性や創造性を重視している発言にもかかわらず,私の目から見ると彼女のインタビュー記事はエリートを頂点とした階層社会をイメージしているように見える。

 

誰もが幸福である社会が本当に実現したい社会

 私たちの新しい社会はこうした階層社会ではない社会を考えている。人とAIとの協同関係発展が今後の社会だとしたら,それは誰もが社会の中で役割を見いだし,理想的には格差が解消され,生活の不安を感じない社会だろう。ヒエラルキー社会ではなく,個性という多様性がパッチワークのように全体として調和している社会だ。

 

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