№2141 「まとめブログ」 対応
SNS名誉棄損記事の違法性
インターネット記事をつまみ食いして集め,「まとめブログ」として誹謗中傷する行為は違法行為として許されない。民事責任はもちろん,刑事事件にもないうる(最判24.3.23判時2147号61頁)。2チャンネル,掲示板などSNS社会では企業もインターネット上のうわさに気を使わざる得ない。
NBL(New Business Law 1116.p12)に「まとめブログ」による誹謗中傷行為を違法と判断し,200万円の賠償命令を出した事例が紹介されている(大阪地裁H29.11.16)。これは在日朝鮮人女性記者を誹謗するもので,彼女の書いた記事を適当に寄せ集めて内容を入れ替えたり,ゆがめた強調を行うことによって名誉侵害や侮辱行為をしたと判断された。
記事の編集・加工でも責任を負う
過去,私が対応したまとめブロガーは,自分の記事は全て既存記事の引用であり,根拠のあるものだと主張してきた。その上で,どこの記事から引用したかも示してきた。
しかし,いくら根拠があるからいって,適当につまみ食いして全体の意味を変えてしまう行為は許されない。例えば「右翼街宣車を見た」と抜き書きした部分を引用して「右翼街宣車と関係あるらしい」などと書けば,意味が全くことなるから「うそ」の記事ということになる。
記事をつまみ食いして,まとめ,全くこれまでにない内容に作り替えるのであればそれはやはり名誉毀損であり,人格権の侵害だ。
そのまま既存記事を引用した場合でも責任を負う
必ずしもブログ掲載者本人が記載している訳ではない。たとえば,2チャンネル上に誹謗した記事をそのまま引用するような場合,悪いのは最初の記事を掲載した者であって,引用者ではないという反論がある。
確かに,正当な論評のもと他文献などを引用することは許される。しかし,そもそも誹謗中傷する記事であると分かっていながら,掲載すればそれはやはり誹謗中傷する行為だ。上記大阪地裁の裁判例では「拡散」に対する責任も問われている。裁判所は当該「まとめサイト」にアクセスされた件数が多数あることを根拠に,あらたに拡散に手を貸したものとして違法と判断している。
プロバイダの責任は限定的です
ブログサービス運営者の責任はプロバイダ責任制限法3条によって制限されている。同条では、「他人の権利を侵害」を知って放置するか、知ることができるのに放置していたかしていないと責任追及できない。また、そもそも回避が技術的に可能でなければならない。削除要求があるのに放置しているような場合には責任を負うことになるだろう。
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