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№2162 スパンオブコントロール

№2162 スパンオブコントロー

一人が管理できる人数には限界がある
  スパン・オブ・コントロール(span of control)というのは,一人の管理職(だいたい課長)が管理できる人数の範囲,限界のことを言う。確かに,一つの会議で適正に議論できる人数はせいぜい7人ぐらいのような気がする。10人とか15人ぐらいになると,なんだか教室のような感じになってしまう。この原則は1993年,ギュリック(Gurick,1937)とアーウィック(Urwick,1956)の二人により経営の世界へ唱えられた。
"Relationship in Organization"

 管理できる人数は職種にもよるし,単純な作業かどうかによっても異なる。上司の管理能力,部下たちのできのよさ,マニュアルなどの教育システム,管理システムなどの完備の程度によっても異なる。不確定な要素が多いので,こういう場合は大雑把に7人ぐらいだろうと考え,その上で諸要素を考慮した方がかえって正確になるように思う。

企業の成長段階と管理職
 企業も人と同じように成長段階を持つ,成長に従い,企業者から右腕になるような管理職が登場し,さらにそれが増えていく。管理職が増えていいけば,さらにその下にグループができあがることだろう。

 この成長段階に合わせたグループ化,階層化は企業戦略上,きわめめて重要な意義を持つ。「組織は戦略に従う」というが,成長段階で持っている持ち駒,管理システムの有無,程度,所属する人材の成長の程度をよくはかりながら組織区分を考え,スパンオブコントロールというある種の科学的な視点を持ちつつ決定していくことは意味があるように思う。

社員や管理職の成長の課題
 一人が管理できる限界数というとき,管理というのは組織の成長のためでもあるし,同時に,上司となるべき人間の成長や,部下となるべき人間の成長という観点で考えられる必要がある。組織で人が鍛えられるためには管理が必要となる。

 また,一方でこうした「教育」「成長」という管理の自由度が要求される場面では,権限がどのように設定されるかも忘れてはならない。管理者なるとは権限が与えられる,自分の責任で仕事ができるという自由度を持つことになる。優れた組織であればあるほど自由度は高くなると思う。

システムや報告書による管理
 一人の管理する人数が増えれば増えるほどそれを補完するシステムが必要だ。管理のためのソフトウェアを導入することもあるだろうし,報告書を書面でチェックするということもあるだろう。

 この報告書による管理は当然「落ち」が出てくる。フェイスツーフェイスの関係ではないので教育効果も落ちる。職種が単純作業ばかりであれば効果があるだろうが,複雑な業務では書類作成ばかりに時間がかかりかえって生産性を低めてしまうこともある。

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