私は経営学の基礎を繰り返し勉強している。企業法務には企業の事業上の戦略に付加価値をつけることが求められるからだ。コア・コンピタンスが大切だとわかるが、経営学はそれを実現する経営者の心は教えてくれない。稲盛経営哲学には教えてくれる。
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コア・コンピタンスというのは「顧客に多大な利益をもたらし、他社には真似できない独自の能力」と定義されている。1980年代、米国経営学では日本企業研究が盛んだった。1990年、ゲイリー・ハメルがハーバードビジネスレビューに「The Core Competence of the Corporation」を発表し、コア・コンピタンスの考えを発表した。
分かりやすくするとこんな意味かもしれない
これだけではわからない。たとえば特定の製品はどこにもでもあるが、質の高さからいうとできる企業は限られる場合がある。平凡な製品化もしれないが、精度の高さは自社しかできない、という時、その精度の高さを実現する能力がコア・コンピタンスと言われているものだ。
ホンダの技術はコア・コンピタンスだ
たとえば、同じオートバイでもホンダは違う。中核となる技術があり、それに支えられている。しかも、このコアな部分は自動車にもほかの機械にも応用され、様々な事業展開が可能となる。NC旋盤がいくら発達しても、人の技術は必要だし、治具がものをいったいする。
コア・コンピタンスは次の要素を持つという
顧客にとって高い付加価値を与えられること
幅広い分野に応用できるポテンシャルがあること
競合他社に真似されにくいこと
稲盛経営哲学はコア・コンピタンスを獲得するための心を教えてくれる
ところで、経営学ではこうした経営の外形は説明する。確かにコア・コンピタンスは必要だろう。しかし、それをどうやって生み出すかは教えてくれない。この点、稲盛経営哲学には「コア・コンピタンス」を生み出す経営者の信念のようなものを教えてくれる。
どの山に登るか
稲盛氏は企業によって目指す山が違うという。京セラは「エベレスト」をめざし、それに相応しい考え方、装備を持ってきたという。
誰にも負けない努力をする
「小さな事業の積み重ねながら、創意工夫を重ね、地味な努力を弛まず続けてきた事実」こそが大切だと言う。「最初から大きなビジネスなどあるはずがないのです。」
すむ世界を変える
「「強烈な思い」を抱き、岩をもうがつ強い意志で一気阿世に高収益を目指そうとするならば、より劇的に「すむ世界」を変えることができます。そして、いったん「すむ世界」が変われば、あとは通常の努力でその世界に居続けることができるようになります。」
利他の心
「自分たちの利益ではなく、世のため人のために役立つ」という「純粋な心」がお客様に喜んでもらえる商売を展開でき、結局は自分の利益になる。こういう「利他の心」が大切である。