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№2306 本当は自分の金儲けのため?

№2306 本当は自分の金儲けのため?

稲盛さんの葛藤
 京セラ稲盛和夫氏が稲盛さんを務める盛和塾機関誌第8号は1994年発行で稲盛さんが60才ころの話が掲載されている。稲盛哲学完成に向けて意識が集中している一方,葛藤もみられる。そこの悩みが私たちが稲盛哲学を自分のものにしていく点で役立つように思う。

利己の経営が悪いのではない
 稲盛経営哲学の本質は「利他の心」だ。座談会ではこんな言葉を言っている。
「利己の経営が悪いのではない。人間は利己というものはいるわけですから。・・・金儲けしたいという目的だけでは,みんなを引っ張っていくのに何か弱いんですね。」(2頁)

方便としての利他の心?
「だから方法論として,方便として金儲けしたいんだけども,それをちょこっとこっちへ置いておいて『従業員のために会社をよくしようじゃないか』と変えてみると・・・他の人をよくしてあげようという気持ちが入っているから,大義名分が立って,みんあを引っ張っていけるんです。そのベクトルをそろえて,力をうんと盛り上げていくのが経営なんですね。」

利己と利他との葛藤の始まり
 創業2年目に社員の「反乱」があった。「あの時に,会社の目的を『全従業員の物心両面の幸せ』と定めるわけです。・・・彼らの生活条件を約束する羽目になった。・・・非常に葛藤があります。その親兄弟の面倒も見られない俺が,なんで縁もゆかりもない人間の生涯面倒みなければいかんのか,割に合わんやないか,と数日間相当荒れるんです。」(20頁)

葛藤の中で昇華する
 「割に合わんと思ったものが吹っ切れてから,割に合わんと思わないできたものですから,それが修行道なんですね。それをずっとやっていくうちに,利他まで昇華していくんでしょうね。」

 稲盛さんは,「全従業員の物心両面の幸せ」と企業理念を定め,「1週間ぐらいでふっきれる」という。しかし,すぐに自分のものにしたという訳ではなく,その後は「修行道」だという。その後に,「利他に昇華していくんでしょうね」という。この「しょうね」と終わるところが稲盛さんにあっても当時修行中だったことを意味する。

昇華し,純化し,単純化される
 「中小であればあるほど,それに負い目を感じて『働いていただいている』となる。だから,皆をひっぱていく理念がいる。・・・私が言うことなどは単細胞に見えてくるんですが,実はそれが一番強いんです」


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