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№2331 京セラ稲盛経営哲学総括

盛和塾

 京セラ名誉会長稲盛和夫氏は盛和塾という中小企業事業者向け勉強会の塾長となっている。稲盛塾長は全くのボランティアで参加し,自らの体験,経営上の信念を伝えている。盛和塾での勉強で救われたり,大きくなったりした会社は少なくない。

 四半期に一度,もう30年近く機関誌盛和塾が発行され,現在155号となっている。最近これをほぼ1日1冊の割合でバックナンバーを読み続けてきて一応読み終えた。本来ならこんな乱暴な読み方をしてはいけない。

 

フィロソフィ

盛和塾では経営哲学をフィロソフィという言葉で表現している。フィロソフィの特長は経営者を始め全従業員は職場を人生を豊かにする場と捉えていることだ。職場は喜びも苦痛ももたらすが,仕事を通じて人々は人生を豊かにならなければならないと考えている。職場は人々を規制し,人々に建前で生きることを強制する場であってはならない。そのような人生と仕事とが重なりあう場とするための哲学が職場に必要だというのである。

経営理念

 京セラでは職場の哲学を経営理念として表現している。京セラの場合,全従業員の物心両面の幸福を実現するというのが経営理念の中核となっている。従業員は給料を得るために就職したし働いている。従業員の物質的要求を満たすことは企業としての最低限の勤めだ。しかし,稲盛氏は「利益」は重要だが仕事の結果であって目的ではないという。第一に仕事,成果を通じて得られる達成感,仲間を得る喜びがあって,利益はそれついてまわる結果ととらえる。そこで,「物と心」が大切だとする。

 

経営理念は実践的な経営上の指針である

 経営理念という言葉には現実を動かす力がなければならない。京セラではそのための様々な倫理的な指針が用意されそれが京セラフィロソフィであったり,経営十二ヶ条であったりといった言葉でまとめられている。

 経営十二ヶ条は経営者の心得をまとめたもので,「事業の意義,目的を明確にする」「事業の具体的目標をかかげる」など経営者ならば思い当たる経営上の心得が明記されている。

 京セラフィロソフィには「人生を豊かにするため」という観点から仕事上の様々な局面での考え方を示している。中核的な判断基準は「人として正しいか」となっている。人に仕事を押しつけたりしない,困ったお客様に応えていくといった社員の主体性に関わる考え方が示されている。

 

盛和塾フィロソフィは企業を成功に導く

 稲盛塾長が説く経営の要諦は一人稲盛氏のものではない。他の優れた経営者,経営学者の考えと驚くほど重なっている。これは経営哲学普遍性を持っている証しだと思う。しかし,盛和塾の卓越したところは,稲盛和夫氏という零細から始まりグローバル企業に至るという一代で企業の成長の全てを体験した人物が自ら語っているところにあると思う。つまり,さまざま経営の教科書は経営の方法は伝えても,経営者の信念を伝えることはない。それも,考えに考えられた信念はその高みに多くの経営者の心を打っている。私は京セラフィロソフィが企業成功者への極意であると思うようになっている。

 

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