名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№33 起業家精神

 起業と言えば,エンタープライズ(Enterprise)ということになるが,私にとってはエンタープライズはとてもよい響きを持つ言葉だ。カーク船長ひきいる宇宙船エンタープライズの活躍は実にかっこよかった。私もカーク船長のようになりたいなどと思ったものだ。アメリカの開拓者精神や戦う姿勢は私の思想の中に少しは流れているかもしれない。余談だが米国環境保護活動家の中には米国インディアンを大切にする人が多い。コミュニティや部族の誇りをかけて巨大な白人権力と戦ってきた彼らに勇者としてのヒロイズムを感じているかもしれない。
 さて,今日から「地域インキュベーションと産業集積・企業間連携」という本を読み始めた。三井逸友編著となるこの本は起業家精神のあり方をテーマに複数の研究者が執筆している。第1章は「起業教育のための産学連携」をテーマに堀潔先生が執筆している。オランダの教育システムを紹介した論文であるが,いくつか示唆に富むフレーズが出てくる。例えば,創造・成功は日常の中にあるという考えである。「顧客のニーズに応え,製品の改良を進めていくという地道な対応が重要である」。その中にイノベーションがあるというのである。中小企業家は常に創造的であるといのは同友会の精神であるが,中小企業の一見すごいと思える行動も実は地道な作業の延長上に立つ小さなアイディアの積み重ねなのだろう。本論文はこうした起業家精神と教育に触れ,「『自分の選択』を『自分の決断』において『活動すること』を学ぶことが起業家精神を培う教育であるという。そして,この観点からオランダのいくつかの教育プログラムを紹介している。机上の学問ではなく、事業者の実践を見せようとする教育方法は興味深い。
 これも余談だが、日本のNGOは力が弱いと言われているが、それはマネジメント能力に欠けるという点もあるように思う。起業的な意識をもって社会活動を行うことも大切だ。