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№782 中小企業とNGO、中小企業家同友会の役割

№782 中小企業とNGO中小企業家同友会の役割
 我が国の中小企業政策は中小企業基本法中小企業庁設置法を中核としている。中小企業と経済民主主義との関係は戦後間もない頃、中小企業庁発足当時の基本的な考えであったし、今日でも中小企業庁の存在意義と言い得るのではないだろうか。

 もちろん、そこでの中小企業像は時代とも変遷している。中小企業自体の質的な力量を確保するために高度経済成長時代下では系列下によってその力量を高める政策が取られていった。この政策については中小企業の力量向上を招いた一方で中小企業の事業上の自主性を失わせたし、中小企業社会的な格付け低下をもたらしたように思われる。

 やがてグローバリゼーションの進展と、一方で系列下によって硬直化した我が国の生産システムに限界が生じるようになり中小企業基本法は新たな中小企業像を模索することとなった。それが、平成11年の改正であり、中小企業の起業性の重視、脱系列の推奨などに現れている。

 今日のようにリーマンショック以降の新しい経済情勢中でも、中小企業の自主性重視の政策は必要に思われるが、一方で、外部環境に弱い中小企業のあり方に対する保護策の考え直す時期に来ているのだろうと思う。

 私はその一つとして、中小企業の自主的な活動を支えるNGOの強化と専門家集団の役割の強化にあると思う。中小企業は自由な存在でなければならないため、保護策と言っても社会福祉のような給付行政には限界があると思う。かと言って、行政のみに外部環境の整備を求めるのも問題があると思う。

 つまり、行政は国民のニーズの喪失があっても存続できる存在できるため、時に施策の硬直を招く。国民のニーズが失えば存在意義が失われてしまうような公的存在、真の意味での「第三セクター」、NGOなどによって支えられる施策が加わることで、中小企業の自主性と保護育成行政との調和が図れるように思う。

 こうした考えのモデルとしては米国で実施されているリレーションバンキングの考え方やインドで発展しているマイクロクレジットインドネシアイスラム銀行の考え方があるのではないかと思う。