名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2326 起業家よ大志を持て

№2326 起業家よ大志を持て

 京セラ会長稲盛和夫氏が主催する盛和塾機関誌第38号では稲盛氏のベンチャー育成について考えを掲載している。

 稲盛氏の発言はシリコンバレーの生い立ちから始まるベル研究所のスタッフが半導体の可能性を信じて起業するときフェアチャイルド社が出資した。この会社からはインテルなど多くの人材が生み出され,その後のシリコンバレーを形成していく。

 京セラのファインセラミックス半導体発展の歴史の中でIC保護の基板材料として採用され行く。稲盛塾長はこの創成期に米国に自社商品を売り込みに行きフェアチャイルド社と業務提携を進めた。まだ,ブドウ畑ばかりだったシリコンバレーに日本の稲盛和夫が登場しているのは驚異というほかはない。その後,京セラは新産業を発展させ今日の巨大企業に発展した。

歴史の変化は小さな企業から始まった
 その後半導体産業は世界を一変させた。塾長はこれを「人物のタネが人類社会に貢献する」とし「ベンチャービジネスを興すということが,経済社会にとって大きな影響を与えるということを改めてよく理解していただきたいと思います。」

中小企業が尊敬される文化形成が必要
 ベンチャーが世界をかえることがあるというとき,これを経営者側から見れば世界に貢献し世界の歴史を変えるという経営者としての誇りこそが大切となる。ベンチャーを育成するというのであれば,単に設備や資金を援助するというものでは足りず,中小企業の社会的ステイタスが確立する「文化」を形成することが必要だという。

中小企業が尊敬される社会が必要
 「我々企業経営者が,富を再生産していかない限り,国家は成立し得ないのです。・・・企業人が社会から高い評価を受け尊敬と信頼のまなざしを向けられるような社会にしなければ,若い人たちが企業家を志し,新しい産業を興すことに情熱を傾けてくれるようにはならないと思います」

経営者の誇りというのは成果によって生まれる
 しかし,そうはいっても経営者の誇りというものは,経営者として資質と能力,努力によって支えられることは間違いない。私の知っているベンチャーでも大学のぬるま湯の中でぼんやり新技術と称するものを売り込んでいる者が多い。生きるか死ぬかという強い覚悟が必要だ。その覚悟として稲盛は次の資質が必要という。
 ① 独創性と緻密さを併せ持つ人
 ② 大義名分を目的として明確に打ち出せる人
 ③ 緻密な目的を立てられる人

エンジェルは努力する者に降り立つ
 こうしたベンチャーに対して,エンジェル投資を行う者は,教育者的役割も必要であるという。「ベンチャーは容易に成功するものではありませんから,そのリスクを考えれば,起業のときに資金調達が難しいのはいわば当たり前のことなのです」。しかし,その独創性がいわば歴史の流れの中で必然性を持つことを証明し,確実に収益を上げるだけの緻密な経営戦略を示し,さらにやり遂げるという熱意を持てば資金は提供される。ベンチャーキャピタルはそうした起業者の資質の教育も必要だと稲盛は言う。

上場だってスタート地点
 さらに,京セラ会長ならでは発言がある。「上場がベンチャービジネスのゴールではありません。一般投資家たちが会社を認め,株を買ってくれる上場こそスタートであり,そのスタートラインに立つ資格」と述べる。自社の立ち位置を絶えず高いところに持っていく,これが経営者の資質であり役割である。

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら
                               → http://www.green-justice.com/business/index.htm

イメージ 1