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№2154 eコマース時代倉庫業務の注意事項

№2154 eコマース時代倉庫業務の注意事項

eコマース時代の倉庫業
 eコマースの発達で,倉庫業務も革命的な変化が相次いでいる。アマゾンなどは物流拠点をどんどん建設している。①空間をより徹底的に有効に利用し,②倉庫滞留期間をいかに短くするか,③人員削減をどれだけ進めるかが倉庫管理業務の生命線だ。

WMS(Warehouse Management System)
 倉庫管理業務については,WMS(Warehouse Management System)と呼ばれる倉庫管理システムが発達している。管理される商品がバーコードなどによりデータベースとひも付けられていて,どのような商品がいつ,どこに保管され,いつピックアップされ,どこに搬出されていったかということを統合管理するものだ。

IoTやAI
 最近のWMSの発想からすれば,商品だけでなく,作業者にも端末がつけられ集中管理されることになる。時間帯,季節によって変動する忙しさに応じて,人の配置がコンピュータの援助を得て行われる。コンベアや配置用リーフともすべてロボット化されて必要な工数減らされていく。もっとも最適なマネジメントがAIによって探られていくかもしれない。

倉庫業新時代の法律問題
 こうした,新時代の倉庫業務について法律上の問題点はどこにあるだろうか。伝統的な請負,寄託と行った契約類型では処理しきれないいくつかの問題点がある。

① ソフトウェア導入,保守管理契約
  倉庫管理には発達段階があるからそれに合わせたシステムを導入しなければならない。背伸びして高度なシステムを導入するとお金もかかるし,導入の労力かかり,挫折というリスクも高い。その場合の契約書の構成が難しい。

② 倉庫管理概念の拡張
  倉庫は単なる保管にとどまらない。入荷から出荷までの責任を負うことになる。入荷に際しての検品,出荷について梱包,適切なピックアップと適切な配送先の手配,こうした業務について,倉庫管理者がどこまで責任を負うかが問題となる。例えば,検品方法の負担,誤配送のリスクなど適切な責任分担を定めておく必要がある。

③ 秘密の保持
  システムが高度化すると,倉庫管理のノウハウは企業にとって重要な財産となる。製造業ではラインのあり方や,パイプラインの組み方など工場空間の最有効利用にかかわるノウハウがあり,誰でも入れるという訳にはいかない。


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