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№1926 法律はリスクをどのように考えているか

№1926 法律はリスクをどのように考えているか

契約あるところに対価有り
 民事分野では取引には必ず対価があるというのを原則として考えている。贈与など無償で相手に渡すというのは例外的な現象だ。この「対価」という考え方は基本中の基本で、法学部や法科大学院では繰り返し繰り返し問題にされる。

 つまり、「もの」売って「対価」(通常は金銭)を渡す、「もの」を貸して「賃料」を支払う、「労務」を提供して「賃金」を支払うなど何かを与える代わりに何かをもらうというやり取りが契約の本質的要素だと考えている。

「もの」 vs. 「対価」とが見合っているから商談が成立する。
 契約時に期待した効果が無かったり、数量が足りなかったり、欠陥があったりすると、イコールの関係が崩れてしまって、その埋め合わせを片方が求めてることになる。それが法律上の紛争だ。

法律は「足りない部分」を「リスク」と呼んでいる
 この法律上の紛争が生じたときに、「足りない部分」、これがリスクと呼ばれる領域となる。契約時は円満であっても、何か「足りない部分」、たとえば品質の欠陥、数量の欠陥があるかもしれない。また、仕事を頼んだけれどもやってくれないかもしれない。働かない、病気で働けないということがあるかもしれない。この「かもしれない」という不確定要素を「リスク」と呼ぶことになる。

 この不確定要素に対して、弁護士は事前には契約で対応策を考えることになる。契約で重要なのはリスクの範囲を画して固定し、固定された範囲のリスクに対し何をするかを決めておくという作業となる。この時に対価的なバランスをいかに回復させるかというのが思考する上で重要となる

期待に反する効果しか得られないと紛争になる
 また、実際に「足りない」という事態になった場合がある。検品してみると質が悪い、数が足りないという場合がある。あるは天変地異によって商品に傷がついたり、無くなったりすることもある。こういう場合、損害賠償、値引き、交換、修理などで対応する。どうにもならなければ契約解除によって双方の関係を整理する。

 このように法律上「リスク」及びそれへの対処は絶えず、対価的なバランスの中で決めていく。私たちが顧問先に法律問題を説明する時にもこの対価的なバランスをいかに修復するかが法律問題だと説明すると比較的理解していただける。

瑕疵担保責任と危険負担
  法律上は、もともと欠陥があったけれども契約後発覚したというような場合、もともと欠陥は無かったけれども契約成立後何らかの事情によって欠陥が生じてしまったような場合と分けて論じている。

 契約成立時にはあった欠陥は瑕疵担保責任などと呼ばれたりする。契約後に生じた欠陥は「危険負担」とか「損害賠償」などと呼んでいる。この当たりは民法でももっともややこしくて難しく、かつ豊富に判例のある領域だ。学生たちなどはここでかなりつまづく。

 最近の民法改正はややこしい問題を整理しようとしている。つまり、契約の前か後か時期は関係ない、欠陥があったことが重要であるというのだ。

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