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№1869 廃棄物が埋設された土地取引の行方

№1869 廃棄物が埋設された土地取引の行方

 最近でこそ廃棄物の最終処分はやかましくなってどこに何があったかぐらいは分かるようになったが、昔はどうだったかは今だに分からない土地がある。安心だと思って買った土地から廃棄物がわんさか出てくるという話はまれではない。

  廃棄物が埋設された土地が取引された場合にはいったどんなことが起こるのだろうか。
 普通に考えると、地中から廃棄物(特に建築廃材が多い)が出てくれば、欠陥土地だということになるかもしれない。特にマイホームとなるとごみの上に自宅があると思うだけでいやになるだろう。

 土地取引は特定物売買と言って、気にくわなくても替わりがきかない取引だ。法律上はそのものを引き渡せば契約としては履行したことになる。しかし、土地に欠陥があった場合、土地の価値がさがってしまう。買主としては代金返せということになるだろう。

 法律はこれを「瑕疵担保責任」とよんでいて、とても使い物にならないのであれば契約の目的達成しない契約の解除を許す。一応使えるということであれば、価値が下がった分だけ賠償しろ、つまり値引きということになる。廃棄物がある場合は廃棄物の撤去費用が賠償のめやすになる。

 もし、売主が廃棄物の存在を知っているか、過失によって知らなかった場合、売主としては買主に対する説明義務を果たさないということになる。この説明義務というのは契約に付随する義務で、契約上の責任だったり、不法行為責任だったりする。売主はこの責任にもとづいて賠償責任を果たすことになるが、この場合は瑕疵担保責任での賠償責任より広くなるとされている。どれくらい広くなるかは事例によって異なる。

 しかし、ことは単純ではない。
 土地の場合、住宅建設を目的に取引されれば、建物が建てば目的は達してしまう。いくらがれきが埋まっていても、いやな感じでも建物が建てば契約の目的を達するのだから買主には損は無いとされてしまう。

 マンションの地盤を確保するためには廃棄物をどけないとなると、これは立派な「瑕疵」で賠償責任を負う。

 さらに、大きな問題となる場合は有害物質が出た場合だ。たとえばダイオキシンが混じった焼却灰が埋まっていたらどうだろう。アスベストが入っていたらどうだろうか。

 いずれも最近になって問題なってきた有害物質だ。
 たとえば取引が何年も前で、当時これらが問題になっていなかった時代の取引であれば、この時代の取引としては特に問題の無い取引だったということになって、あとから分かっても解除や賠償問題は発生しない。昔は規制されていなかったが今は規制されている有害物質も同じあつかいだ。

 それに、そもそもいつ混入した廃棄物か分からないことも多い(最近の事例で、大阪高裁H25.7.12判時2200号70頁がある。)。

 こういうことがあるので、廃棄物や有害物質が混じった土地取引というのはけっこうやっかいな議論が多い上、土木上の知識も必要なので意外と難しい事件になる。

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