№1671 代替品と新しい発想
従来の商品に対して代替品が見つかることで、新たなビジネスチャンスが広がる。これまではタイプライターだったが、ワードプロセッサーがとって変わった。「ワープロ」は電気的信号によって文字を生み出す点でそれまでにない発想だった。
【その1】
買い手のバリューチェーンに注目する。一つの商品には様々な価値が関連している。「おむつ」は再使用可能なので保管や洗濯が必要である。再使用の価値がある一方で、保管、洗濯というコストがかかる。紙おむつは「おむつ」に関わるいくつかの価値,例えば保管,洗濯コストの削減,赤ちゃんの快適さ,衛生などを実現することで代替品として主流を占めてきた。
このように一つの「解決」は紙おむつというイノベーションによって生み出されている。製造→保管→販売→アフターケアといった価値の連鎖を見直し、代替部分はあるか、代替部品にえって、従前商品よりさらに価値を生み出す商品を生み出されるかを検討することになる。
【その2】
「製品の機能を、文字通りにでなく、基本にさかのぼって定義することが重要である。」たとえばCDはレコードの代替品だ。これを音楽情報の媒体として定義すると、CD以外の媒体も代替品となる。さらに、電気的信号そのものが代替品となる。原理にさかのぼって考えることにより、同一機能はもちつつ、まったく別のものが生まれてくることがある。
【その3】
買い手のセグメントに注目する。
同じ製品でも使い方が異なると機能の評価も異なる。自社の商品が他のセグメントの代替品として使えるか検討する過程でイノベーションが生まれることがある。たとえば、工業用機械の騒音低下技術を家庭用防音技術に応用する場合、工業向けの高技術は一般消費者にとっては奇跡のような技術に見えるかもしれない。工業分野ではあたりまえの技術が、一般家庭分野では驚くべきイノベーションとして写るかもしれない。