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№1517 中国の労使紛争

№1517 中国の労使紛争

 2年ほど前には中国では自然発生的なストライキが多発した。一カ所でストライキが起き労働条件が改善するや,あちらこちらでストライキが発生した。中国は社会主義国なので組織された労働者が本来権力を持っていることになっているが,そうでもないようだ。

 もうすっかり当たり前になっているが中国では賃金が上昇し,安い労働力を売り物に世界の資本を導入しようというやり方は限界に来ている。実質的平等をめざして法制度は整備されている。中国の労使紛争も山猫ストのような暴動に近いものから徐々に法的な手続きによって処理されるスタイルに変わりつつあるようだ。

 中国では「中華人民共和国労働法」「中華人民共和国労働契約法」が整備され,解決方式として「中華人民共和国労働紛争調停仲裁法」がある。従来,労使紛争は,社内調停→自治体所轄の仲裁委員会→裁判所,という流れであったが仲裁法の整備によって仲裁委員会の権限が強化されている。

 労働者側には裁判する権利が保障されているが,経営側の裁判権は制約されている。
 労働報酬,労働肥料費,経済補償(賃金12ヶ月分の範囲),国家の労働基準執行による労働時間,休憩,休暇,社会保障にかかわる問題は原則として仲裁委員会の判断が最終判断になる(法47条)

 中国全体としては仲裁制度などを利用した労働争議は増加傾向にある。2013年には最高人民法院労働争議に関する司法解釈を提示した。中国では労働争議を金銭解決を図る方式の条文が多いように見受けられる。

 中国では退職に伴うトラブルが多い,解雇・退職,転職,競業避止義務など関連する条文があるが金銭解決を図る方法によっている。2013年司法解釈はこうした賠償問題にかかわる問題も少なくない。