名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№1476 競業者分析,ライバルに学ぶ

 №1476 競業者分析,ライバルに学ぶ

 マイケル・ポーターは競業者分析のフレームワークを提案している。それは「競争相手よりすぐれいる点を生かして,その価値を最大にするよう事業を位置づける」ためである。

 ポーターの競業者分析は競業者に限らず,自社分析にもそのまま使え役立つ部分が多い。さらには,お客さんの分析,たとえば自社の部品がトヨタに納められていれば,トヨタの動向は非常に重要なのだが,その分析にも使える。

どのような競業者を分析の対象とするか
 ポーターの文章は大企業を想定しているため中小企業では直ちに使えないと思う。しかし,こんな風には考えられる。

 自社の製品を売り込む顧客を取り合う関係,自社製品を代替して販売する相手を競争者とする。さらにその競争者全体を「業界」としている。この「業界」全体の動向の中で,自社はどのような顧客に製品を売っているのかを検討することになる。その場合のライバルは誰であるか。そのライバル達,特に重要なライバルを分析することになる。

ライバルから学ぶ
 ポーターの思想は「競争」と「戦略」にある。競争によって自社は鍛えられ業界全体も進歩し,社会も進歩するというがポーターの思想だと思う。

 競業者分析というのは自社との対比において競業者のあり方,優位点,劣っている点,共同できる点などを分析することだ。分析の過程で競業者の行動は自社が取り入れるべき点,自社が反省しなければならない点を提供することになる。さらには業界全体の動きも分析することで自社のポジションも決まっていくことだろう。

 このように競業者分析を通じて,「競争相手よりすぐれている点を生かして,その価値を最大にするように事業を位置づけること」が競争戦略ということになる。「戦略上での問題点は自社にとって最も有利な競争分野はどこか」を見いだすことが重要だ。

あまりにも多い情報量
 とは言え,ポーターが示している分析の視点はあまりにも多岐にわたるので,そんな分析するだけで1年や2年かかってしまい何のために分析するのだろうと思ってしまう。

 しかし,ポーターは言う。
「データは,一時に大量に入ってくるのではなく,たえまなく少しずつ得られるのが普通である。そして,競争業者の全体像をつかむためには,これらのデータを長期間にわたって統合していく努力がぜひとも必要である。」

 さらに,ポーターは言う。
「必要なデータは,ただやみくもな努力だけで作成できるものではない。データ作成を効果的に行うためには,組織化されたメカニズム,すなわち競業者情報収集システムといったものが必要であ」る。