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№1661 イノベーションと事業の「飛躍」

№1661 イノベーションと事業の「飛躍」

 当事務所豊橋事務所主催の講演が無事終わった。来ていただいたみなさま,ありがとうございました。必ずやみなさまのお役に立てたことだと革新しております。それほど小出先生の講演はすばらしかったです。

 小出さんは中小事業者のコンサルティングについては天才的な力を発揮している。講演では数々の成功例が報告された。その成功例は次の3つの要素からなっている。

 ① 事業者が持っている隠れた価値に光を当てる。
 ② 隠れた価値を具体化させ,それを求めている顧客に情報を届ける。
 ③ 気づけば誰でも直ちに実践できるようなプロセスを作り上げていく。

 マルミヤ食品はレトルト製造を手がけていたが,設備が古く,小ロットの注文しか応じられなかった。しかし,一方でレストランなど小ロットのレトルト化しか求めない消費者がいた。あるレストランが自社の商品をレトルトパックに使用としたら大きなロットしか引き受けないと言われて,困っていた。

 小出先生はそこで,レトルト業者に,小ロット専門の業者として売り出したらどうかと提案した。その上で,商品名をレトルトクリエーションとし,100個でも注文に応じる会社としてプレスリリースしたところ,経済紙に掲載され小ロット注文を求める事業者の注文を受けるようになり業績を大きく伸ばしていった。

 このように隠れた価値に「気づく」ところからコンサルテーションは始まる。小出流の場合対話の中で「社長それってすごくないですか」という価値の発見を行う。

 もちろん,小出さんのように優れたコンサルがいればよいが,いつもそうとは限らない。私たちは自力で新しい顧客を発見する努力をする必要がある。

 マイケル・ポーター流に言うと,既存競争業者が手をつけていないセグメントを業界の分析,細分化の過程で発見する場合がある。この手つかずのセグメントに対して,自社の技術や資源が有益であれば,事業は成功していく。

 たとえば業界内の区分を考えた場合,商品の種類の縦軸とお客の種類の横軸とに区分される。まるみや食品の場合,商品の種類はロットの規模で分類する。小,中,大と分類する。また,お客の層には,大規模スーパー,中規模の食料品,レストランなどの小売など,事業規模によって分類する。

 マルミヤ食品の場合,当然,小ロット,小規模小売業のセグメントががら空きになっていたことになる。このがら空きに気づくかどうかが「飛躍」の第一歩ということになる。このがら空き状態のセグメントに対して,自社の資源や技術が適応できるかが次の課題だ。

 これは,マイケル・ポーター流に言うと「異なる戦略と価値連鎖」が必要だし,セグメントの魅力度(セグメントの構造,規模,成長力),つまり欲しいというお客がたくさんいて,きちんとニーズを満たせば売れていく,ライバルも少ないという状態などを言う。

 とまあ,こういう具合に小出先生の講演からは多くのことが勉強となった。


 
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