№1641 ライバルあっての業界
世の中に「良い」競争業者("Good " competitor)と「悪い」競争業者("Bad" competitor)がいるとは知らなかった。マイケル・ポーターよると,「良い競争業者は,会社の競争的地位を弱めるよりもむしろ強める。」のだそうだ。
業界内に適切なライバルがいることで,業界内で優位に立っている企業は地位を強化する。
たとえば,需要変動のリスクをライバル社が背負っているかもしれない。ライバル社がいることで自社の技術水準が高まるかも知れないし,ライバル社より安い価格であることで比較の基準ができあがっているかもしれない。自社が相手にしないセグメントをライバル社が補っていてくれているかも知れない。
ライバル社がいることで,業界全体の水準が上がり,顧客の業界に対する多様な要求が満たされることになるかもしれない。業界全体が発展する結果,わが社もよくなるということがある。
このように業界内に競争者がいることは悪いことではない。
ライバルあってこそ優れたスポーツ選手が生まれるようなものかもしれない。ライバルがいることでスポーツ界が活性化するかもしれない。ライバル同士が非常に高い水準であるため,新規参入を阻止するかもしれない。
ポーターの考えは,市場を共に分け合う関係が業界全体の水準やシェアを高める場合があるということを言っている。これは何もトラストをせよと言っているわけではない。競争の中で市場を分け合う関係ができあがることの重要性を述べている。
こうした発想は中小企業にあっても十分役立つ。
競争の中で市場を分け合う関係を作り上げることが中小企業にとっても役立つ。地域に根付いた優れたお菓子屋が,相互にライバルを認め合うことでお菓子屋の技術が高まり,相互にブランド化していく。高技術になれば,新しい参入者も入りにくくなる。
顧客対応や仕入れなど競争の様々な局面で,相互に協力することが役立つ場面があるかも知れない。競争しつつ市場を分け合うことで,競争の部分と共同の部分の棲み分けができるかもしれない。共同の部分,たとえば仕入れコストであったり,物流コストであったり,海外対応コストであったりこうしたものは共同化できる。
写真はスウェーデン
ノーベル賞チョコレート
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